海上自衛隊の自衛艦隊司令部が、従来は主に米国海軍の部隊と結んでいた「姉妹部隊」をフィリピン海軍の部隊と結ぶ方向で検討していることが1日、分かった。自衛艦隊司令官の斎藤聡海将が比側から提案があったと明らかにした。比海軍との部隊間交流を深め、南シナ海で力による現状変更を試みる中国海軍を牽制する狙いがある。

斎藤司令官は自衛艦隊が1日で発足70年を迎えるのを前に行った事前の記者会見で、比海軍との姉妹部隊提携について「比海軍との関係を強化する上で非常に有効なものだ。早期に作っていきたい」と述べ、艦隊のどの部隊が提携するのに適切かを検討する考えを示した。

斎藤司令官によると、5月10日に行われた日米と豪州、韓国4カ国の艦隊司令官による会合に比軍が初めてオブザーバー参加した際、比側から提案があったという。

姉妹部隊は海外の都市間で結ぶ「姉妹友好都市」のように相互の友好関係を確認し、交流親善のために部隊間で結ぶ。従来は神奈川・横須賀や長崎・佐世保などへ前方配備される在日米海軍艦艇と海自艦のほか、航空部隊や整備部隊などの間で結ばれている。

防衛省は平成29年から海自のTC90練習機を無償譲渡し、比海軍は監視活動に利用。海自はパイロットの養成や機体整備などで協力している。比側には、海自との部隊間交流を促進する思惑があるとみられる。

南シナ海では領有権を巡る比中間の対立が激化している。6月17日にはアユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)の比軍拠点に向かう補給船団に中国海警局船が乗り込み、乗組員を一時拘束する事案も起きた。

5月に行われた日米豪比の参謀総長級会合では中国側の違法で攻撃的な活動に対し、4カ国の軍などが共同歩調を取ることで一致していた。