「ここで勝つと負けるとでは、天と地の差がある。ファン・サポーターもそうですけど、クラブの全員で日本を代表して勝ちにいきたい」

 アル・アイン(UAE)と激突するアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝に向けて、そう意気込んだのは横浜F・マリノスのFW宮市亮だ。

 蔚山現代(韓国)との準決勝は、最終的にPK戦までもつれこむ死闘となった。決着がついたホームでの第2レグは平日開催で、天候はあいにくの雨。来場者数は、今季のJリーグの平均2万人を下回る1万6098人だった。

 それでも「アジアを勝ち獲ろう」の大弾幕を掲げ、大声援を送り続けたファン・サポーターの存在は大きな力になったはずで、宮市もこう振り返る。
【厳選ショット】数的不利で厳しい戦いも耐え抜いてもぎ取った勝利!PK戦を制した横浜がACL決勝進出!|ACL準決勝第2戦 横浜 3(5PK4)2 蔚山
「あの試合の最後のほうは防戦一方でしたけど、(ゴールを)入れられる気がしなかった。雨の中でもあれだけ声を出してくれるのは、間違いなく僕らを上げてくれるひとつの要因でしたし、そういった人たちのためにも踏ん張らないといけないなって。

 PK戦の時はセンターサークルからファン・サポーターを見ていましたけど、あの景色は今まで体感したことのないくらい、グッとくるものがありました」

 そして決勝戦に関しても「アジアのナンバーワンを決める大事な試合ですから、みんなと勝利を分かち合いたいですし、少しでも時間があるなら足を運んでほしい。最後はアウェーですけど、ACLに関してはあと2試合なので、みんなで勝ちにいきたい」と後押しを呼びかける。

 中京大中京高からJリーグを経由せず、プレミアリーグの名門アーセナルに加入した宮市は、フェイエノールト、ボルトン、ザンクトパウリなどを渡り歩き、2021年夏から横浜でプレーする。その翌年には2回目の右膝前十字靭帯断裂の大怪我をしたが、それを乗り越えてピッチに立っている。

「今、ここで言い表わせないくらいの感謝の想いであふれていますし、選手としてやれているのはマリノスにいたからだと思います。数々の怪我がありましたけど、それでもピッチに立たせてもらっているので、なんとしてもこのクラブに貢献したい」

 宮市は今年に入ってから公式戦でのゴールがない。だが、背番号23は「誰かがヒーローにならないと勝てないので、結果的に僕が点を決めたり、アシストをできれば嬉しいです。でも、それよりもチームの勝利が大事なので、そこにフォーカスしてやりたい」と前を向く。

 クラブ初のアジアの頂点へ――第1レグは5月11日、横浜国際総合競技場で開催。横浜は先勝できるか。トリコロールの快足ウインガーの躍動にも期待したい。
 
取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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