長谷部誠が5月24日、現役引退会見に出席。「後悔は全くない」「MAXのMAXの評価をしてもらった」と40歳での決断をポジティブに伝えたなか、鎌田大地との関係性にも言及した。

 13歳下の鎌田とはフランクフルトで共闘。2021-22シーズンには2人でヨーロッパリーグ制覇に大きく貢献した。異国ドイツでピッチ外においても大きな存在で、いわば師弟関係とも捉えられるが、助言をしたことはほぼないという。

「主にメンタル面で、後進の選手たちに伝えていきたい大事なことは何か?」と問われると、自身が考えるヨーロッパで生き残る術をこう明かした。
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「若い選手たちへのメッセージとか、そういうものはあまりないです。結局は自分が切り拓くしかない道だと思っています。アドバイスを求められても、『こうした方がいい』っていうのは、基本的にはあまり言わずに(やってきました)。たとえば、チームメイトだった大地もそうです。どう思われているか知らないですけど、彼に対してアドバイスをしたことなんて、ほとんどないんですよね。

 彼は難しい時期もあったけど、自分の力で切り拓いていったと思う。誰かに言われるというよりは、自分で這い上がっていくぐらいじゃないと、やっぱりヨーロッパのサッカーでは通用しないし、この世界では通用しないので。『とにかくもがいて、苦しんで、そういうものを積み重ねた先に、大きなものが見えてくる』。そういうことは言いたいなと思いますね」

 鎌田は、海外で初めてのプレーとなったフランクフルト加入1年目は、公式戦4試合のみの出場に。それでもシント=トロイデンへの期限付き移籍を経て、飛躍的な成長を遂げた。また、今季から所属するラツィオでもベンチ生活の苦しい日々が続いたが、監督交代を契機にポジションを掴み、日本代表復帰も果たした。

 逆境に抗い、糧とする――。その姿はまさしく、“長谷部イズム”だ。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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