ヨーロッパリーグ(EL)決勝が22日に行われ、アタランタがレヴァークーゼンを3−0で破り、クラブ史上初となる欧州の大会での優勝を飾った。試合後、ナイジェリア代表FWアデモラ・ルックマンが、優勝の喜びを露わにした。


 今季の公式戦51試合無敗を続けるドイツ王者との一戦は、序盤の12分に動く。アタランタは左コーナーキックのこぼれ球を回収すると、右サイドのニアゾーンを破った元イタリア代表MFダヴィデ・ザッパコスタがマイナスへ折り返し、マイナスのスペースへ走り込んだルックマンがダイレクトで仕留める。続く26分には、セカンドボールを拾ったルックマンが、ペナルティエリア手前から個人技で相手を置き去りにし、自ら右足で豪快な一撃を叩き込んだ。


 後半へ入ると75分、カウンターの局面でイタリア代表FWジャンルカ・スカマッカがボールを持ち運び、ペナルティエリア手前中央に相手を密集させて左へ繋ぐと、待っていたルックマンが縦への仕掛けから左足でゴールネットを揺らす。このゴールで、ルックマンはEL史上初となる決勝でのハットトリックを達成した。


 試合はこのまま3−0でタイムアップ。この結果、アタランタは今季公式戦51試合無敗を続けていたレヴァークーゼンに初めて土をつけ、タイトルを勝ち獲った。なお、前身大会のUEFAカップ時代除くと、イタリア勢の優勝は初。UEFAカップ時代を含めると、1998−99シーズンのパルマ以来、25年ぶりの大会制覇を達成した。


 ハットトリックと大車輪の活躍を見せたルックマンは、当然のようにUEFA(欧州サッカー連盟)が選出する決勝のPOTM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に選出。ルックマンは『TNT Sports』を通して「人生で最高の夜のひとつだ。チームは素晴らしいパフォーマンスを見せた、本当にファンタスティックだよ。僕らは大きなことをやってのけた。優勝できてうれしい。今夜は歴史を作った」と喜んだ。


 また、『UEFA.com』を通しては「あらゆる面で素晴らしい試合をした。試合が始まった最初の1分から、僕らは勝利への執念を示した。前半は本当に見事な戦いだったし、後半も決して気を緩めることなく戦った。結果として、ベルガモにタイトルを持ち帰ることができたんだ」と試合を振り返っている。


 2022年夏にライプツィヒからアタランタへ完全移籍加入したルックマンは、ロンバルディア州ベルガモの地で過ごした2年間も回想。「この2年間、クラブと監督は、自信を失いかけていた僕に出場時間を与えてくれたり、クラブ内部からサポートをしてくれた。僕のサッカーをする上で、このチームのスタイルの中で自分のプレーを見せる上で、彼らのサポートは欠かせないものだった」と、クラブおよびジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督への感謝を口にした。


 指揮官としてアタランタの“スタイル”を構築したガスペリーニ監督について、ルックマンは「彼の長所は監督としての激しさだと思う。彼が用意したトレーニング、そして彼との会話から、自分に何を期待しているのかが理解できるんだ」と称賛。「彼と初めて言葉を交わした時、僕のサッカーを見る目は大きく変わった。物事をシンプルにしてくれた。自分のプレーを違った角度から見ることができた。本当に、彼にはとても感謝している」と語った。


 対戦相手のレヴァークーゼンは、EL決勝まで公式戦51試合無敗という驚異的な記録を続けていた。ルックマン自身も「レヴァークーゼンはトップのチームだ。今夜まで無敗だったというだけで、誰にだってその凄さが理解できるだろう。彼らが今年やってきたことに、大きな敬意を抱いている」とリスペクトを示した。一方で、そんな相手を破った要因については「我々は十分な準備ができていたし、ゲームプランも的確に遂行できた」と話している。


 EL決勝でのセンセーショナルな活躍により、ルックマンはその名を一気に知らしめることとなった。「僕はいつだって、創造する力、ゴールを決める力、チームメイトを助ける力に自信を持ってきた」と前置きしつつ、「この2年間で、自分のプレーをまったく新しいレベルに引き上げることができた」と、アタランタ加入が自身の能力を示す上でのキーポイントだったと主張。「もしかしたら、もっと早く実現できたことなのかもしれない。ただし、これは始まりに過ぎない。このような夜をもっと増やして、どんどん良くなっていきたいね」と今後を見据えた。



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