東京都神保町にて2024年3月開廊、アートの新たな可能性を提案する気鋭のギャラリー New Gallery。本ギャラリーで行われる展示企画第二弾として、羊文学のフルアルバム『12 hugs (like butterflies)』をクリエイティブチームHUGが再解釈し、数々のアーティストと共に創り上げる企画展「"ひみつの庭" inspired by 羊文学 - 12hugs (likeZbutterflies)」の開催が決定しました。

羊文学はVo.Gt.塩塚モエカ、Ba.河西ゆりか、Dr.フクダヒロアからなる、繊細ながらも力強いサウンドが特徴のオルタナティブロックバンド。近年は人気TVアニメのEDテーマをつとめた「more than words」が国内ストリーミング1億回再生を突破したほか、FUJI ROCK FESTIVAL’23に出演し日中のGREEN STAGE出演アーティストとしては異例の動員数を記録。今年4月開催の横浜アリーナワンマン公演のチケットは発売開始後3分で即完。春に行った初のアジアツアーでは全会場ソールドアウトで完走するなど、アジアを起点に海外にも本格進出し、さらなる飛躍を目指して、しなやかに躍進を続ける彼女たち。

"ひみつの庭" inspired by 羊文学 - 12 hugs (like butterflies)は、昨年12月にリリースされたフルアルバム『12 hugs(like butterflies)』のアートワークを担当したharu.(HUG)が、塩塚モエカより受け取ったセルフライナーノーツを辿りながら楽曲を再解釈し、さまざまな分野で活動するアーティストたちとともに、アルバムの世界観を表現した展示空間となっている。

羊文学にとって約1年半ぶりとなるオリジナルアルバム『12 hugs (like butterflies)』は、バンドのスケールが大きくなっていく中で、原点回帰を果たし、ありのままの自分たちを解放した作品。アルバムタイトルは、両手をクロスして自分で自分を抱擁する“バタフライハグ”をテーマに“自分自身をハグする12曲”という意味合いでつけられた。

Vo.塩塚のバタフライハグ(自分自身を抱きしめる)姿が切り取られたアートワークも印象的となっている。変化し続けるバンドそのものを“庭”、それを耕すクリエイターやスタッフたちを“庭師”と定義したこの空間では、制作の過程にある関係者同士の親密なコミュニケーションを垣間見ることができる。

3人が揃って間もない時期から今日まで、羊文学のアートワークを支え続けてきたクリエイティブディレクターのharu.(HUG)が核となり造り出された「庭」には、様々な「庭師」が名を連ねた。羊文学を独自の視点で写真に収めてきたフォトグラファーNico Perezを始め、衣装を手掛けたAva、フラワーアーティストのfinaleflwr、「ファッション」をバックグラウンドにあらゆる領域で活躍するアーティストChristopher Loden、Supreme x MM6のコラボレーションでも話題を呼んだウイッグ・アーティスト河野富広とフォトグラファー/ビジュアル・アーティスト丸山サヤカによるクリエーティブ・プラットフォーム konomadなど、名だたるーティストが本展に参加。そして展示空間の設計はデザインスタジオDODI™といけばな草月流師範のアレキサンダー・ジュリアンが担当し、「ひみつの庭」を象る。

なお、本展示はご入場にあたり日時指定の事前予約制となっており、事前予約の入場券は明日5月18日(土)午前10時より、イープラスにて販売を開始する。本件に関する詳細はNew Galleryのホームページもしくはイープラスの購入ページにて確認していただきたい。羊文学が生み出す音楽と、その世界観を拡張する庭師による"ひみつの庭"ふ触れてみてはいかがだろうか。

"ひみつの庭" inspired by 羊文学 - 12 hugs (like butterflies) ステートメント

「ひみつの庭」
7年ほど前、モエカさんと最初に会ったとき、私は約束の場所にすごく遅れていた。
東京の街にまだ馴染みもない頃、何かの媒体の取材で対談相手として私のことを選んでくれたのだった。そのときのことはあまり覚えていないが、彼女の憂を帯びた大きな瞳は印象に残っている。遅刻をしたにも関わらず堂々としている私の姿(最悪である)を見て、「これでもいいんだと思えた」と最近になって話してくれた。
後にアートワークなどの制作に携わるようになり、初めてデザインした『若者たちへ』(2018)では、モエカさんの瞳に映る未来を覗き込みたくなるような一枚をジャケに選んだ。
メンバーと関わるのは制作期間のみで、プライベートな話もあまりしないが、音楽への妥協や嘘がないからこそ、楽曲を聴けば今の彼らにとって大切なものを捉えることができる気がした。『our hope』(2022)、そして『12hugs (like butterflies)』(2023)の制作も共にさせてもらい、ゆっくりと信頼関係を築いてきた。
「ひみつの庭」は、『12 hugs (like butterflies)』の楽曲や世界観を私たちHUGが再解釈した展示空間となっている。
変化し続けるバンドそのものを“庭”、それを耕すクリエイターやスタッフたちを“庭師”と定義したこの空間では、作品が生まれていく過程にある、夢をみる余白を大切にしたかった。
展示のキービジュアルは、創造の扉をつなぐ蝶のかたちをした蝶番の写真を、サイアノタイプでプリントしている。まだ見ぬ未来への構想を練る、という意味で「青写真を描く」と表現することがあるが、この展示は自分のなかで形成されつつあった羊文学像を、一度解体するような作業だった。あえて輪郭をあやふやにすることで、きっとどんなものにも変化していけるから。
さまざまな可能性を秘めている羊文学が、そしてメンバーの一人ひとりが、自由に表現を模索し続けていけることを願って。
クリエイティブ・ディレクター
haru. (HUG)