国籍・ジャンル問わずさまざまなステージが繰り広げられ、料理やお酒を楽しみながら音楽に浸れる世界基準のライブレストラン・Billboard Liveが、2020年7月に国内3店舗目を神奈川県・横浜にオープンした。しかし、新型コロナ禍の真っ只中にオープンしたこともあり、当初は大々的なPRやブッキングができず。昨年からようやく軌道に乗り始め認知を広げたものの、「少し敷居が高いイメージ」「ライブハウスにはよく行くけれど、Billboard Liveはシステムや利用方法が難しそう」といった声も。

しかし! 実際は、最高の音響とサービスを備えながらもかなりリーズナブルで、ひとりで仕事帰りや休日にふらっと立ち寄れたり、友人やパートナー、またはファミリーで一緒に利用するなど、シーンを選ばずに楽しめる快適なライブレストランである。一歩足を踏み入れれば、他にはない贅沢なライブ体験に心を奪われて、何度も通いたくなる魅力に溢れているのだ。そこでSPICEでは、まだビルボードに行ったことがない人のために、編集部が実際に利用し体験したことをレポートすることに。総支配人にも話を伺いながら、Billboard Live YOKOHAMAの内部に迫る。

「Billboard Live」は、130年以上の歴史を持ち、世界で最も信頼される音楽ブランドである「Billboard(ビルボード)」の名のもと、国内外のトップクラスのアーティストが出演するライブレストラン。そのパフォーマンスを、一流のシェフによる料理と選りすぐりのドリンクと一緒に、快適なインテリアで堪能することができる。2007年に東京・六本木、大阪・梅田にオープンし、日本でも約20年にわたって歴史と伝統を繋いできた。


Billboard Live YOKOHAMAは、みなとみらい線「馬車道」駅・2a出口に直結、JR「桜木町」駅より徒歩8分のところにあり、東京・大阪と同様にアクセスは抜群。今回は、せっかくなので「横浜らしい」ベイエリアの景色が広がる、JR「桜木町」駅から向かうことに。

横浜赤レンガ倉庫の外観 写真提供=横浜赤レンガ倉庫

横浜赤レンガ倉庫の外観 写真提供=横浜赤レンガ倉庫

桜木町駅からは日本初の都市型循環式ロープウェイが頭上を通り、商業施設や横浜赤レンガ倉庫のある運河パークまで続いている。Billboard Live YOKOHAMAからでも橋を渡って、徒歩10分〜15分ほどで行ける距離のところにある。また、元町・中華街も徒歩20分ほど(電車で2駅)とすぐ近くのところにあり、横浜の代表的な観光スポットを一気に周遊することができるのも魅力だ。また横浜も他クラブと同様に、ほとんどの公演が1日2部制で行われるため、前後の予定と合わせて1日のおでかけのプランに組み込みやすいのもうれしいところ。

歴史的な背景からレンガ造りの建物が複数残るエリアとなっているので、迷わないように事前に地図で場所をチェックしておこう。

そんなBillboard Live YOKOHAMAが入っている商業施設「KITANAKA BRICK&WHITE」は、横浜市認定歴史的建造物である「旧横浜生糸検査所附属生糸絹物専用B号倉庫及びC号倉庫」を復元・活用した歴史的にも貴重な建物だ。

写真提供=Billboard Live

写真提供=Billboard Live

エントランス

エントランス

到着したらまず先にチケットブースでチェックインを済ませよう(ネット予約の場合は、専用の機械でQR コードか予約番号を入力して入場できる)。無料で利用できるクロークがあるので、必要に応じてコートやジャケット、大きな荷物を預けよう。荷物を預ける場合は、財布や化粧ポーチなど、必要なものを持ち運ぶための小さなバッグも持っていくと便利!

Billboard マガジンのコレクション

Billboard マガジンのコレクション

エントランスを抜けて2階へ上がると、壁面にずらりとアメリカの『Billboard Magazine』が並んでいる。1894年の創立以来、約130年にわたりエンタテインメントシーンを牽引したマガジンで、総合ソング・チャートの「Hot 100」は世界の音楽ファンからも高い支持を得ている。この壁面には、同誌の貴重なコレクションが並べられていた。また、ショップではロゴ入りのタンブラーやリングノート、Billboard Liveに関する書籍などオフィシャルグッズも販売されている。中でも、Billboard Live YOKOHAMA限定デザインのくま(キーホルダー)は特に人気なんだとか。

オリジナルグッズ

オリジナルグッズ

座席は、2階がステージとフラットな配置のためよりステージを近くで楽しむことができ、スタッフサービス付きで料理を味わえるテーブル席・ソファ席の「サービスエリア」。3階が1ドリンク付きでバーカウンターで注文するセルフスタイルの「カジュアルエリア」となっている。

カジュアルエリアのバーカウンター

カジュアルエリアのバーカウンター

当日は少し早めに到着して、好きなドリンクやフードを注文しよう。もちろん、ライブ中にも注文は可能だが、アーティストが音頭をとって一緒に乾杯できることもあるので、手元にドリンクがあるとより楽しめるはず。

「グルメアンサンブル」(¥2,980) 写真提供=Billboard Live

「グルメアンサンブル」(¥2,980) 写真提供=Billboard Live

グランドメニューのほか、季節や公演によってメニューが変わり、アーティストとコラボしたメニューが登場することも。地域食材を使ったシェフこだわりのメニューが並び、中でもおすすめのメニューをお弁当スタイルに仕上げた「グルメアンサンブル」(2,980円(店頭価格))が人気。さらに注目は、レコードの上に盛り付けられた横浜クラブ限定のハンバーガー「YOKOHAMA"SWING"」(1,980円)だ。

「YOKOHAMA"SWING"」(¥1,980) 写真提供=Billboard Live

「YOKOHAMA"SWING"」(¥1,980) 写真提供=Billboard Live

そのほかにもパスタやピッツァ、ステーキなどの洋食から、季節のフルーツを使用したデザートまで超本格メニューがそろう。公演によっては、入場チケット料金に+500円で楽しめる「ワンコインミールプラン」も用意されているので、気軽に楽しみたい人も安心だ。

ワンコイン・ミールプランの例(公演料+¥500) ※予約制、サービスエリアのみ。時期によって内容は変更あり 写真提供=Billboard Live

ワンコイン・ミールプランの例(公演料+¥500) ※予約制、サービスエリアのみ。時期によって内容は変更あり 写真提供=Billboard Live

ひとしきり、食事とドリンクを楽しみながら開演を待つ。象徴的なシャンデリアの灯りが消え、いよいよライブがスタート。なんと言っても、音響の良さが魅力のBillboard Live。横浜は特にサービスエリアがフラットで、最前列にいたってはステージとくっついている。なかなかあそこまで直近で観られる会場はないのではないか。

Billboard Live YOKOHAMA 総支配人・由井園元伸氏

Billboard Live YOKOHAMA 総支配人・由井園元伸氏

「お客様もアーティストも音がよくないと、また行きたいとは思ってもらえません。なので、音響には徹底的にこだわりました」と話してくれたのは、Billboard Live YOKOHAMAの由井園元伸 総支配人。ステージ全体が見渡せる高さのカジュアルエリアでも、天井やボックス席の壁で音が反響することを防ぐため、防音材を設置したり、壁と壁の角を丸く設計するなど、専門家が音の跳ね返りを徹底的に調整している。つまり、どの席からでもハイクオリティのライブを楽しむことができるのだ。

カジュアルエリアからの様子(演奏時、シャンデリアは上部に収納される) 写真提供=Billboard Live

カジュアルエリアからの様子(演奏時、シャンデリアは上部に収納される) 写真提供=Billboard Live

横浜クラブならではの魅力については、なんといっても「キャパ300規模ならではのグルーヴ」だと由井園氏。「横浜にはアリーナ規模の会場もありますが、その中でBillboard Live YOKOHAMAは比較的小さな会場になります。この狭さがなによりの魅力で、小規模だからこそライブが盛り上がった時の空気のうねりや一体感を感じていただけるはず」

サービスエリア・ソファ(指定席) 写真提供=Billboard Live

サービスエリア・ソファ(指定席) 写真提供=Billboard Live

ステージとの距離感、そして音響の良さは観客にとってはもちろん、出演するアーティストにとってもBillboard Liveの醍醐味。出演したアーティスト達からも、観客との会話を楽しんだり、直にリアクションを受けて演奏できるため、ライブの内容も自然と変わってくるという声があるそう。理想的な音を届けられることは、ライブをしていて何より楽しいという話もよく耳にする。

この日、拝見したライブもまた、いつもよりカジュアルにステージを楽しんでいる印象で、アーティストも観客とお酒と会話を交わしながら、他では演奏しないような楽曲を披露していた。ライブハウスや大きなアリーナなどとはまた違った音と空間が生まれ、またアーティストの意外なパーソナリティを垣間見ることができるのもBillboard Liveならではの魅力ではないかと思う。

会場を後にする頃には、食事やドリンクでお腹も満たされ、最高のライブ体験で胸いっぱいに。ほかでは味わえない満足感があった。その余韻を楽しむため、駅直結ではあるけれど帰りも桜木町まで歩いて帰ることに。潮風を感じながら煌めく夜景を眺めていると、改めて特別な1日になったことを実感。

カジュアルエリア・カウンター席 写真提供=Billboard Live

カジュアルエリア・カウンター席 写真提供=Billboard Live

そんなBillboard Live YOKOHAMAは、「新型コロナ禍のまっただ中にオープンしたこともあり、ここからが本当のスタート」だと由井園総支配人。「東京、大阪と同じことをやっていては特色が出せません。横浜では、新しいアーティストの層を開拓したいと思っています。例えばアイドルやYouTuberなど、これまでBillboard Liveにあまり馴染みがなかった方々にも出ていただいて、独自のカラーを出せたらと模索しています。また、演奏中はご自身の携帯端末からQRコードで商品を注文できるようにするなど、快適に過ごしていただけるように工夫していきたい」と、ならではの取り組みについても話してくれた。

「横浜は音楽好きの方が多い。だからこそ最高の音響、アーティストのラインナップ、美味しい食事にしっかりとこだわりながら、他のクラブにはない新しい取り組みにも挑戦していきたいと思っています。そして、誰もが知っているクラブに。Billboard Liveに行くことがおしゃれなステータスになるようなお店にしたい。お出かけやデート、接待の定番に。「横浜で遊ぶならBillboard Live」、「あそこに行けば間違いない」と誰に聞いても言ってもらえるように広めていきたいですね」

来年の夏で、オープンから5周年を迎えるBillboard Live YOKOHAMA。一度訪れれば、他では味わえないライブ体験に心を掴まれ、また必ず訪れたいと思うほど魅力に溢れていた。横浜での遊びの新定番になる日も、そう遠くないはず。

取材・文・撮影=SPICE編集部(大西健斗)