高知県宿毛市の「幻のかんきつ」を使ったリキュールとビールが誕生。生産者を応援する老舗飲食店の取り組みを取材しました。

高知市にある創業から107年の老舗飲食店「土佐料理 司」。2カ月ほど前から提供しているのがこちらのリキュールとクラフトビールです。どちらも「直七」を使用しています。

「直七」は宿毛市で栽培される特産品で、まろやかな酸味とすっきりとした味わいが特徴です。ただ生産農家が少なく市場にほとんど出回らないため「幻のかんきつ」とも呼ばれています。そんな直七を使ったリキュールを製造したのは150年以上の歴史を持つ「酔鯨酒蔵」です。

酔鯨酒蔵・上田 正人 社長:
「直七を主役にしたブレンド品を作りました」

直七にちなんで名づけたリキュール「Nana −直七&柚子−」は半年ほどかけて完成させました。

すっきりとした味わいの日本酒をベースに直七と県産のユズ果汁を22%とたっぷり配合。仕上げにはちみつを加えています。

三木 優花リポート:
「まろやかです。直七とユズの爽やかな甘みがあってとても飲みやすいです」

暑い日にはこんな楽しみ方も。

三木 優花リポート:
「透き通った黄色のグラデーションとてもおいしそう。ソーダの爽快感と直七とユズのさっぱりとした甘さがとても合います。夏にぴったりだと思います」

一方、クラフトビールは香美市のビールメーカー「高知カンパーニュブルワリー」が製造しました。

三木 優花リポート:
「苦みが少なくて爽やか。後味がすっきりしていて飲みやすいです」

この2つの商品を開発したのが「土佐料理 司」です。きっかけは新型コロナでした。

土佐料理司 高知本店・北村 宏輔 取締役:
「直七が売れなくなって困っていたところで司さんのところでなんとか売ってくれないだろうかとお話をいただいて」

農家から直七を買い取り果汁を販売している宿毛市の「直七生産」から相談を受けコロナ禍で売れ残ってしまった大量の在庫を購入。食品会社などに販売することになりました。
自社も宴会のキャンセルなど打撃を受けていましたが、生産者を助けたいという思いからでした。

次第に直七もコンビニエンスストア・ローソンの定番商品「からあげクン」の味付けやポン酢の原料に使われるなど人気が急上昇!今では生産者から“うれしい悲鳴”が上がっています。

直七生産・三松 義高 社長:
「実際に必要な量の半分近くしか供給できないというような状態。どうやって生産量を増やしていくか一番の課題」

ゆくゆくは「直七を世界へ」。生産人口を増やし高知が誇るかんきつ直七で地域活性化を目指します。

土佐料理司 高知本店・北村 宏輔 取締役:
「安くたくさん売るんじゃなくて付加価値をつけて、ちょっとでもいい値段で売る。そうすると生産者の方にも(直七を)ちょっとでも高く買うことができる。高知にはこんなにいい食材があるよと、その中でも直七というかんきつがあるよと。県外の人、また海外の人にも知っていただけたら」