10日発表のエルニーニョ監視速報で、昨年春から続くエルニーニョ現象がこの春のうちに終息する可能性がかなり高いとの見通しが出されました。
近年の北海道で、春にエルニーニョ現象が終息した直後の夏(6〜8月)の傾向を見ると、直近の2019年は札幌で史上初の3日連続熱帯夜を記録しています。また、エルニーニョ終息後、夏にラニーニャ現象が発生した2010年は夏の平均気温が過去の記録を塗り替えるほどの記録的な暑さとなりました。今年も同様の傾向が続くとなれば、暑さに警戒が必要な夏になりそうです。

2019年 札幌で史上初となる3日連続熱帯夜に!

2019年は春にエルニーニョ現象が終息し、夏以降は平常の状態で経過しました。
この年の夏の北海道は、特に7月下旬から8月上旬の、平年でも暑さのピークとなる時期に高温傾向が強まり、7月29日夜から8月1日朝にかけて、札幌で3日連続での熱帯夜となりました。札幌での3日連続の熱帯夜は、統計史上初めてのことで、7月30日の日最低気温27.4℃は、記録的な猛暑となった昨年2023年でも超えられなかった統計史上最も高い最低気温となっています。

また、2019年は5月26日、全国の5月の最高気温を更新する39.5度を道東の佐呂間で観測しており、夏を迎える前から危険な暑さになった年でもありました。

注:ここでは前日午後6時〜当日午前6時の間に25℃を下回らない状態を熱帯夜としています。なお、熱帯夜は気象庁の正式な統計項目ではありません。

2010年 平均気温の記録を塗り替えた夏 30年ぶりに6月から猛暑日

2010年は春にエルニーニョ現象が終息し、夏からラニーニャ現象が発生した年でした。
この年の夏は全国的に猛暑となり、北海道でも6月、7月、8月いずれも各地で平年より気温が高くなりました。北海道全体の夏の平均気温は、平年より1.9℃高く、1946年からの統計史上最も高くなりました。(昨年2023年夏の平均気温が平年より3.0℃高くなったため、現在は史上2位の記録となっています)
地点ごとにみても、年間の夏日日数は札幌で79日、函館で75日、帯広で74日、小樽で61日など、当時の史上1位の記録を更新した所が多くなりました。

また、道内では6月26日、8月6日、8月7日と3回の猛暑日を観測しました。特に6月の道内での猛暑日は1980年以来30年ぶりのことで、例年になく早い時期から暑さが厳しくなった年でした。

注:平年差の値は全て現在の平年値との比較です。

エルニーニョ現象終息後は対流圏の気温が上昇

エルニーニョ現象が終息すると、地球全体で対流圏の気温が上昇し、その高い状態が数か月ほど続く傾向があることがわかっています。また、ラニーニャ現象が発生している夏は、日本を含む北半球中緯度の気温が高くなる傾向があります。
そのため、春にエルニーニョ現象が終息すると、気温が全体的に高まる数か月がちょうど夏に当たるため、暑い夏になりやすいのです。また、2010年のように、エルニーニョ現象終息後の高温とラニーニャ現象の発生による高温が重なると、記録的な猛暑となる恐れも出てきます。
今年は春でエルニーニョ現象が終息する可能性がかなり高く、その後は秋にかけて平常な状態が続くか、ラニーニャ現象の発生が予想されています。エルニーニョ・ラニーニャ現象との関連からいうと今年の夏は高温になりやすいといえるでしょう。21日に発表された最新の3か月予報でも、この夏の北海道は気温が平年より高い予想となっています。早い段階から暑さへの対策、警戒が必要な夏になりそうです。