現地時間4月28日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2023-24シーズン・プレーオフ決勝の第4戦が行なわれた。男子日本代表の高橋藍が所属するレギュラーシーズン5位ミント ヴェロ バレー・モンツァは、同2位シル スーサ ヴィム・ペルージャとホームで対戦。セットカウント1-3(25-19、23-25、25-27、20-25)で敗れて準優勝となり、念願のクラブ初リーグ制覇と日本人選手として21シーズンぶりの快挙へ僅かに届かなかった。

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 初戦をアウェーで落としたモンツァは、ホームでの2戦目に勝利するも、3日前に再び敵地で行われた第3戦で2敗目。王手をかけたペルージャをこの第4戦で倒して最終戦へ持ち込むことが、優勝へ望みをつなぐ唯一の手段だった。

 モンツァの先発はこれまでの3試合と同じメンバーで、アウトサイドヒッター(OH)が高橋、カナダ代表のスティーブン・マーとエリック・レプキー、ミドルブロッカー(MB)はイタリア代表ジャンルーカ・ガラッシとガブリエレ・ディ マルティーノ、司令塔がブラジル代表フェルナンド・ジル クレリン(通称カショパ)。

 ペルージャも布陣を変えず、OHポーランド代表カミル・セメニュクとウクライナ代表オレフ・プロツニスキー、MBブラジル代表フラビオ・グアルベルトとイタリア代表ロベルト・ルッソ、オポジット(OP)チュニジア代表ワシム・ベンタラとセッターのイタリア代表シモーネ・ジャンネッリを起用した。

 第1セット、モンツァは高橋のアタック3打などでペルージャの背中につける。そして中盤の入り、高橋のエースを起爆剤に前へ出ると、以降、一度もリードを手放さず。効果的なサーブで相手のミスを誘うなどしてブレークを重ね、5点差で試合を先行した。

 モンツァは高橋の会心のバックアタックで第2セットをスタート。セット先取の勢いを味方に中盤にはリードを最大5点まで広げる。ところが、ペルージャが1セット目途中から起用したポーランド代表OHウィルフレド・レオンにボールを集めて猛攻を開始。故障により今季これまで出場機会の少なかった相手主将に次々とレフト攻撃を決められ、終盤に逆転を許してセットカウントを1−1とされた。

 第3セットはモンツァが序盤から苦戦。ペルージャはレオンに加え、2セット目中盤からコートに立ったキューバ代表OPハイメ・エレーラが躍動し、終始劣勢を強いられたモンツァは4点のビハインドで相手にセットポイントを握られる。その窮地、相手を震え上がらせたのは高橋だった。レプキーがサイドアウトを奪った後、サーブに立つとエースを皮切りにブロック2発を呼び込み、3連続ブレークでデュース。しかし、ペルージャがセットポイントを奪い返したところで、モンツァの攻撃がラインを割り、2セット目を譲り渡した。
  第4セットは開始直後からレオンのサーブで3失点。中盤にはそのレオンにエースを叩き込まれるなど、ギアを上げたペルージャに6点差をつけられる。それでも、OHマーのクロス弾でサイドアウトの後、MBディ・マルティーノのサーブで4連続ブレークをもぎ取り、終盤に1点差まで迫る。モンツァは3大会で決勝へ駒を進めた今季を象徴する戦いぶりで粘りを見せたが、またしてレオンとエレーラの攻撃に突き放されペルージャがマッチポイント。高橋は、それをレフトから渾身の一打で阻止する。
 
 しかし、高身長セッター、ジャンネッリのこの試合8得点目で引き寄せた2回目のチャンスを逃さなかったペルージャが、2017-18シーズン以来となる2度目の優勝に輝いた。奮戦が光った高橋だったが、クラブ史上初と同時に日本人選手として21シーズンぶりのイタリアリーグ制覇にあと一歩届かなかった。

 高橋は、14得点(アタック11、エース3)を記録して、公式戦(欧州大会を含む)で今季通算500得点(510得点)を達成。第3セット終盤に崖っぷちからサーブで脅威となり、ペルージャにタイムアウトと選手交代を強いたほか、攻守でチームを鼓舞し続けた。同国公営放送の解説を務めた元イタリア代表アンドレア・ルッケッタ氏は、6打を叩き込んだ鮮やかなバックアタックに、「絶妙なレセプションの後、バックローから飛び込んで強烈なノールック弾。あのスピードでブロックを見て確実にコースを突く技術は何度見ても驚かされる。攻撃に留まらず、サーブと守備も抜きん出たレベルのランは万能な選手」と背番号12を絶賛した。

 ペルージャの選手層の厚さに屈する形となったモンツァだが、今季、3大会で優勝を争うなど、クラブ史に大きな功績を刻んだ。その立役者の一人として破竹の活躍を続けた高橋は、試合後のオンコートインタビューに英語で応じ、「(準優勝は)チームにとって本当にアメージングな成績。僕らがこの結果を残すとは誰も想像していなかったと思います。悔しい気持ちがあるのは確かですが、このチームを誇りに思っています。すべてのサポート、そして、素晴らしいファンの皆さんに感謝しています。新たな経験を積むことができました。このチームが大好きです」とイタリアでのラストマッチを終えて思いのたけを言葉にした。

 イタリア3シーズン目につかんだ確かな手応え。高橋が7月に控えるパリ五輪で日本代表のキーマンとなることは間違いなさそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】高橋藍は攻守で奮戦するも及ばず…モンツァは伊リーグ準優勝
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