いよいよ明日、現地時間5月3日から、事実上のナ・リーグ頂上決戦第1ラウンドが始まる。ドジャー・スタジアムで行われるドジャース対ブレーブス3連戦だ。いずれもナショナル・リーグに所属し、ドジャースは過去11年間で10度の西地区優勝、ブレーブスは6年連続で東地区優勝と覇権を握っている。前者は2020年、後者は翌21年にワールドチャンピオンにも輝いた。

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 今季も下馬評通り、それぞれの地区で首位を走る両軍だが、チーム作りのメソッドは対照的と言っていい。

 ドジャースは大谷翔平(北米スポーツ史上最高額の10年7億ドル)や山本由伸(投手史上最長の12年契約3億2500万ドル)を筆頭に、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、タイラー・グラスノーと、球界屈指の資金力を背景に獲得したスター選手が中心。もちろん、強固なファーム組織も看板ではあるが、「チームの柱」と呼べる生え抜き選手は捕手のウィル・スミスくらいだ。

 対してブレーブスは、若く有能な選手を早い段階から長期契約で囲い込むことを得意とする。昨季史上初の40本塁打&70盗塁を達成して満票MVPに輝いたロナルド・アクーニャJr.を筆頭に、オールスター4度のオジー・アルビーズ、シルバースラッガー2度のオースティン・ライリー、22年新人王のマイケル・ハリス2世ら生え抜きだけでなく、昨季54本塁打&139打点で二冠を獲得した大砲マット・オルソン、攻守を備えた捕手ショーン・マーフィーらトレードで獲得した選手にも、獲得直後に大型長期契約を与えて囲い込みに成功した。
  この6人の今季年俸をまとめると以下のようになる。

マット・オルソン【1B】    2200万ドル
ロナルド・アクーニャJr.【RF】    1700万ドル    
オースティン・ライリー【3B】    1500万ドル
オジー・アルビーズ【2B】    700万ドル
ショーン・マーフィー【C】    900万ドル
マイケル・ハリス【CF】    500万ドル

 40−70達成者と打撃二冠王の年俸を足しても大谷の1年当たりの契約額(7000万ドル)の半分強、6人合計でも7500万ドルでほとんど変わらない。それでいて、総合的な勝利貢献度を示すWAR(Baseball-Reference版)では、昨季は6人で33.5を記録している(大谷は9.9)。

 早期囲い込みのメリットは大きく2つある。

①FA市場と違い、複数球団による条件吊り上げがない→リーズナブルな金額で契約できる
②契約締結時の年齢が若いので、不良債権化するリスクが低い

 ブレーブスはこの2つのメリットを十二分に生かしている。19年にアルビーズと7年3500万ドルの長期契約を交わした際は「あまりにも安すぎる」と批判を浴びたほどだった。確かに、FA権取得まで待てば、その数倍の金額を得られた可能性は十分ある。一方、選手にとってはキャリアの早くから生活の安定が得られるメリットは大きい。それに、球団からするとまだ若い選手の将来性への判断を間違えれば、分不相応な大金を積んでしまう可能性もある。ブレーブスの場合、その判断が正しかったことも現在の隆盛に貢献しているわけだ。

 総合的なチーム力はドジャース以上と評する専門家も少なくないブレーブス。好対照な手法で“王朝”を築いた両チームの激突に注目が集まる。

文●藤原彬

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