2022−23シーズンの王者デンバー・ナゲッツは、連覇を懸けて臨んだ今季、ウエスタン・カンファレンスのセミファイナルでミネソタ・ティンバーウルブズの前に脆くも敗れ去った。

 ウルブズとのシリーズは、最終第7戦までもつれる激闘となった。しかしそのラストゲーム、ナゲッツは最大20点のリードを奪いながらまさかの大逆転負け。失意のまま、2023−24シーズンを終えることとなった。

 レギュラーシーズンでは、2014年と並びNBA参入後のフランチャイズベストとなる57勝25敗(勝率69.5%)を記録し、第2シードを獲得。プレーオフのファーストラウンドではロサンゼルス・レイカーズを一蹴、続くセミファイナルでも2連敗からの3連勝とチャンピオンの底力を発揮し、連覇へ向けて視界は良好かと思われた。

 では、なぜウルブズに敗れたのか。その敗因について、マイケル・マローンHC(ヘッドコーチ)は、自身が選手たちをレギュラーシーズン中に酷使してしまったことだと、今季を総括した際に語った。
 「一方では、我々は第2シードを獲得した。しかしもう一方では、(ウルブズとの)第7戦の後半、うちの選手たちのプレーを見て、死ぬほど疲れているように感じた。おそらく君たちも同じ光景を見たと思う。では、私が選手たちを疲弊させたのだろうか?それは間違いなく理由の一部だと思う」

 今季のウエストは、最後まで激しい順位争いが展開された。とりわけオクラホマシティ・サンダー(57勝25敗/勝率69.5%)とウルブズ(56勝26敗/勝率68.3%)、そしてナゲッツの間で繰り広げられた1〜3位争いは、ラスト1戦を残して3チームが56勝25敗で並ぶ史上稀に見る大混戦に。レギュラーシーズン最終日、サンダーとナゲッツが勝利しウルブズが敗戦、タイブレークの結果サンダーが第1シード、ナゲッツが第2シード、ウルブズが第3シードとなった。

 第2シードを手にできたこと自体はよかった。プレーオフではホームコート・アドバンテージが大きな武器となるからだ。 だが、その代償として、先に順位が確定した他のチームのように消化試合を作ることができず、それが主力を酷使し続けることにつながった。

 ジャマール・マレー、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、マイケル・ポーターJr.、アーロン・ゴードン、ニコラ・ヨキッチの先発5人はレギュラーシーズン最終日までコートに立ち続け、マレー以外の4人は73試合以上に出場。彼らが揃ってコートに立った時間は、2位を150分以上も引き離してリーグ断トツの958分だった。
  加えて、前年チャンピオンのナゲッツは昨季、ウエストのどのチームよりも長く、6月中旬までシーズンを戦った。これらの要素が疲労としてじわじわと選手たちに蓄積し、大事なゲームで露呈してしまったのだろう。

 こうして、一足早く今季を終えてしまったナゲッツ。しかしこれは、逆に言えば疲れを抜く時間が十分に取れるということ。コンディション万全となった来季、彼らが王座に返り咲く可能性も十分にありそうだ。

構成●ダンクシュート編集部

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