先日行なわれた今季2つ目のテニス四大大会「全仏オープン」でベスト4に進出し、大会後に更新された世界ランキングで1位となった22歳のヤニック・シナー(イタリア)。現地6月12日には自身の生まれ故郷であるトレンティーノ=アルト・アディジェ州ゼクステンで行なわれた特別歓迎式典に出席し、新たなマイルストーンを手に入れたことへの喜びと感謝の言葉を口にした。

 今季は1月の全豪オープンでの四大大会初優勝を含め3つのツアータイトルを獲得しているシナー。イタリア人選手がシングルスで世界1位となるのは男女を通じて史上初の快挙だ。大勢の報道陣や地元ファン、ゼクステン市長のトーマス・サマーラー氏に温かく迎えられたニューヒーローは、故郷への思いと現在の心境をこう語った。

「家族が僕を育ててくれた生まれ故郷に戻るのはいつも素晴らしい気分だし、特別な気持ちにもなります。ここに帰ってくると、スキーに行ったことや幼い頃に友達と遊んだりした思い出がいつも頭に浮かんでくるんです。自分が生まれた場所にいられるのはうれしいことだし、誇りにも思います。この美しい場所に何らかの形で恩返しできるのも本当に素晴らしいことです」
  続けてシナーは先の全仏オープンを振り返りつつ、日々支えてくれるファンへの心からの感謝を示した。

「(自分が世界1位となったことへの)イタリアでの反応は素晴らしいと思っています。特に苦戦している時、人々は私にたくさんのエネルギーを与えてくれました。彼らや私を応援してくれる全ての人々とこの瞬間を共有できたのは喜ばしいことです。私を助けてくれた人々に恩返しをし、彼らと成功を分かち合うことを常に楽しみにしていました。そして今、実際にこういう形で全ての選手にとって最大の目標である世界ランキング1位という功績を国全体で共有できています。最高の気分です」

 ATP(男子プロテニス協会)公式サイトによると、式典でシナーはゼクステン市が町の特別なイベントでのみ使用する金色の名簿に自身のサインを書き入れたという。ちなみにそれに署名した人物は過去におらず、今回のシナーが初めてとのことだ。

 また同日にシナーは自身が競技を始めたテニスセンター「Tennishalle Sexten」も訪問。そこでも多くの子どもたちとの交流を楽しんだり、ファンからの質問を受けたりするなど有意義な時間を過ごしたようだ。

文●中村光佑

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