サラリーマン・三上悟がスライムのリムル=テンペスト(CV:岡咲美保)として異世界に転生、さまざまな種族が共に暮らせる理想の国作りに奮闘する「転生したらスライムだった件」(毎週金曜夜11:00-11:30ほか、日本テレビ系ほか/ABEMA・ディズニープラス・TVerほかで配信)。2021年以来となるTVアニメシリーズ第3期では、「魔王達の宴(ワルプルギス)」を経て正式に魔王となったリムルの元へ、魔物を敵視する神聖法皇国ルベリオスの聖騎士団長・ヒナタ(CV:沼倉愛美)が訪れる「聖魔対立編」が描かれる。第51話(第3期3話目)は、テンペストへと帰還したリムルと、それを出迎えるおなじみの面々が織りなす日常を描いた「平和な日々」。(以下、ネタバレを含みます)

■リムル率いるテンペスト陣営の様子に懐かしみの声

「魔王達の宴(ワルプルギス)」を終えてジュラ・テンペスト連邦国に帰還したリムルは、ディアブロ(CV:櫻井孝宏)からの報告を受けたのち、ベニマル(CV:古川慎)やシュナ(CV:千本木彩花)といったテンペスト幹部たちと再会。先のクレイマン軍との戦いの後処理に関する報告を聴き、自分が指示を出さずとも適切な対応をする幹部たちの成長を喜ぶと同時に、寂しさも感じるリムルであった。数日後、ディアブロからファルムス王国が和睦協定を受け入れたこと、さらに賠償金の一部を支払ったという報告を受けたリムルは、すべては計画通りに進んでいることを確認する。

第49話ではファルムス王国、第50話では中庸道化連、神聖法皇国ルベリオスなど、これまでテンペスト以外の勢力が描かれてきたが、第3期3話目の第52話目にしてようやくリムルが率いるテンペスト陣営の様子がじっくりと描写された。とくにベニマルやシュナ、ソウエイ(CV:江口拓也)らは今シリーズ初の登場で、懐かしさもひとしお。ちなみにベニマルはクレイマン軍との戦いで指揮官の大任を果たし、シュナもアダルマン(CV:杉田智和)との戦闘で大きく成長したこともあり、さらに頼もしい存在として描かれているのが印象的だ。SNSでは「もうリムル様、やることなくね?」、「リムルはほら、ヴェルドラとかミリムの担当だから(苦笑)」などの声があがっていた。

■人材育成に苦悩するゲルドの悩みは「あるある」?

獣王国ユーラザニアからやってきた避難民と捕虜を受け入れたテンペスト。リムルはともに帰還したアルビス(CV:加隈亜衣)やスフィア(CV:大地葉)、ガビル(CV:福島潤)の労をねぎらい、町の熱気はますます加速するのだが、そんななかゲルド(CV:山口太郎)だけはひとり悩んでいた。捕虜を使っての測量や整地にあたっていたゲルドは、獣人や魔人たちの扱いに苦慮し、思うような成果をあげられないでいた。人を使うことや育成することの難しさに直面するゲルドの報告を聞いたリムルは、自らのサラリーマン時代の苦労を重ね合わせて共感し、ともに朝まで飲み明かすのだった。

アルビス、スフィア、ガビル、ゲルドと、戦争後も戦場に残って後始末に奔走していた面々がここで多数登場。ちなみにここでのリムルは立ち話で、シオン(CV:M・A・O)の胸のなかでスライムとして抱きかかえられている。スライム形態での登場は久しぶりで、シオンに抱かれるおなじみのスタイルを披露している。人型形態もいいけれど、やっぱりリムルと言えばこの可愛らしいスライム姿も外せない。さらに、思うように人が育たないというゲルドの苦悩は、まさにサラリーマンあるある。リムルは人間だった時代は大手ゼネコンで務めており、今回のように会社員時代の経験を回想することも多い。SNSでは「何か現代社会に通じるものがあるよな」、「ゲルドの悩み、めっちゃ分かるわw」などの声があがっていた。ファンタジー作品でありながら、その根底には現代にも通じる組織運営や人材教育といったテーマが内包されており、本作の大きな魅力に繋がっている。

■ベニマルの熱愛相手はアルビスか

魔導王朝サリオンとの街道整備を進めるテンペストだが、そのルート上に位置するクシャ山脈には、天狗の隠れ里があるとのこと。そこで、無用な対立を避けるべく、ベニマルが話を通しに行くこととなる。さらにリムルはハクロウ(CV:大塚芳忠)から、クレイマン(CV:子安武人)が支配していた傀儡国ジスターヴに古代王国の遺跡が眠っているという報告を受け、そのことはしばらく内密にするようにと伝える。

街道整備の打ち合わせでは、シュナがベニマルとアルビスの仲を疑っている様子が描かれ、ベニマルはこれを否定したものの、これまでになかった新たな人間関係の進展も伺える。もともと兄想いのシュナとしては、ベニマルがほかの女性と仲良くなることに少し嫉妬しているもようで、このときの表情がまた可愛い。SNSでも「そっぽ向くシュナ最高!!」、「ついにベニマルの恋愛フラグキター!!」と盛り上がっていた。

こうして大小さまざまな問題を抱えたテンペストは、改めて主要メンバーたちを集めて会議を開く。すると新たに、リムルの支配領域がジュラの大森林全域に及んだことで、そこに住む多くの種族たちが戦々恐々であることが分かってくる。彼らが次々とテンペストに挨拶に来る事態が予測されるなか、リムルはそれならばと、魔王就任のお披露目を兼ねたお祭りを開くことを提案するのだった。

正式な魔王になったことによる影響は、リムル自身が思うよりも大きかったようだ。しかし、一見すると面倒臭そうな挨拶参りや儀式を、町全体のお祭りというポジティブなイベントに転換するアイデアは、さすがはリムルといったところ。自分よりもテンペスト全体のことを考えて行動するのがリムルの基本理念で、それこそがみんなから慕われる理由なのだということを改めて感じさせてくれるシーンだった。さて次回第52話「それぞれの役割」は4月26日(金)放送予定。期待して待とう!

■文/岡本大介