昨年、ABEMAで放送されて話題となった番組「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」の第2弾、「世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた」が5月18日より放送中(6月2日[日]までは毎週土曜・日曜夜9:00放送、以降は毎週日曜夜9:00のみ)。今回は、東出昌大とひろゆき(西村博之)が南米に置き去りに。19日(日)放送の第2話では、東出と一緒に旅をすることになるひろゆきが合流。またしても予定通りに進まない、発見と出会いにあふれた南米横断旅が始まる。
今回、共に旅に出かけた2人に直撃インタビュー。ロジカルなひろゆきと自らを“能天気”と語る東出、真逆でありながら最高のコンビである2人に、旅の思い出や楽しみ方、お互いの共通点などを語ってもらった。


■最初はひろゆきさんが来ないと言われて…
――今回は東出さん1人からスタートしましたが、東出さんは知っていたのですか?

ひろゆき “僕が来ない”みたいなウソを(同行のディレクター)豊川さんが言ったんだよね。

東出 豊川さんが「今回はひろゆきさんはいません」と言ってきたんですよ。それには驚きましたね。“今言う?”って(笑)。僕、ひろゆきさんが来ると思っての装備しかしていなかったんですよ。色んなことは合流してから考えようと。それくらい行き当たりばったりの気持ちでいたのでかなり驚きました。

ひろゆき 僕は事前に聞いていたのですが、さすがにすぐに気づくだろうと思っていました。そんなにダマされやすい人はいないでしょって。でもいましたね(笑)。


■前回と比べて日本の貧しさを感じることが多かったかも

――今回は南米を旅しましたが、前回のアフリカと比べていかがでしたか?

ひろゆき アフリカと比べると先進国でした。交通インフラもそこそこきちんとしているし、ネットがまったくつながらないというのはなかったので。あと、前回と違って完全に資本主義でした。

東出 ただ今回は観光客が行かないような田舎に結構立ち寄ったんですよ。というのも南米大陸は広くて山やアマゾンがあったりするので、旅行者は基本、飛行機で主要都市を巡っていくことが多いんです。でも僕らは陸路縛りだから常にバスや車で移動していて…。なので田舎に行くと僕らみたいなアジア人を滅多に見ないから、それだけでウェルカムでした。

ひろゆき 前回と比べて日本の貧しさを感じることが多かったかも。これは円安とブラジルの景気の良さの両方が重なった結果なんですが、ポテトチップスのようなお菓子が1個1000円くらいで売られていたりするんですよ。僕らは高いかも…と思って様子を見ていたら、みんな普通に購入していて。別にぼったくり価格じゃないんです。なんか、いろいろ考えちゃいましたね。

――食事も全然違いましたか?

東出 肉中心で、どれも脂っこいんですよ。それはちょっと困りました。

ひろゆき でもラマのバーベキューは美味しかった。

東出 ラマは羊と鹿とラクダに似ている結構大きい動物なんですが、めちゃくちゃうまかったです。

ひろゆき ただ現地の方とは食べ方が違ったみたいで。僕は新鮮だしレアで食べたいのですが、それを見て「もっと焼いた方がいい」って言っていました。僕らからすると、こんなにいい肉で臭みもないのに固くなるまで焼くなんてもったいないと思うけど、高山に住んでいる人たちにとっては、病気にならないというのが最優先で、そのためにはしっかり火を入れて食べることが大事になっていく。価値観の違いを感じました。

東出 ラマの後ろ足って、日本だと絶対にステーキにするいい部位なんだけど、それを煮込むんですよ。めちゃくちゃ美味しいんですが、いい肉を煮込むんだというのは少し驚きました。

ひろゆき でもアフリカより食のバリエーションが多かった。楽しかったです。


■ひろゆき・東出が衝突しない理由

――お2人を見ていて、食に対する価値観が同じだなと感じるのですが…。

ひろゆき 現地の食を汚いから食べたくないと言う人って結構いるじゃないですか。それが一切ないのがラクです。美味しいと感じるものも近いというか。

東出 でもこれって食だけではないですよね。大きい意味で、2人とも協調性がないというところで一致しているんですよ。最初から、自分と他人がそれぞれ別の人間だと諦めに近い認識があるので。なので思ったことを素直に言い合えます。

ひろゆき 東出さんは気遣いの人なので大体合わせてくれるんですよ。あと不機嫌になっても、怒るという感情をあまり出さない人だと前回感じていたので、僕は何も考えずに旅をしています。

東出 ひろゆきさんも実は気を遣ってくれていると感じたのが、ある日本出身の夫婦と出会ったときなのですが、僕はその日すごく疲れ切っていて、体調もあまりよくなかったので「先にホテルに帰って休みます」と伝えたんですよ。そしたらカメラが回っていないところで「気持ち的に何かイヤなことがありましたか?」って聞いてくれて(笑)。まったくもってそうじゃないから。

ひろゆき 僕は人よりも体力があるので、その辺がわからないんですよ。同じことをしていても体は平気で。なので、もしかして気持ち的に…と思ったんです(笑)。

東出 ちなみに今回、僕は結構ひろゆきさんに1人部屋はどうですか?とか交渉した気がする。そういうバランスを取っていくのが一緒に長く旅をする上で大事なので。

ひろゆき それもよく分からないんですよ。僕は寝ちゃえば意識がなくなるので、別に隣に誰がいようと気にしない(笑)。でも言ってくれるとありがたいです。

――では、相手のここを直してほしいみたいなところはないんですね。

東出 現地ではちょっとした部分であったかもしれないですが、今振り返っても思い浮かばない。なので、ないんじゃないかな?

ひろゆき そもそも他人に対して変えてほしいと思わないんですよ。この人はこういう人だとしか思えないので。なので、ないですね。


■地元の人に「お前たち死ぬ気か?」と言われ…

――今回の旅で印象的だったことを教えてください。

東出 路上で飯を食っていたときに見た、地元の子供たちがお祭りの準備する光景かな。

ひろゆき なんか青春でした。1年に1回のお祭りのために、みんなで楽器を弾いたりダンスをしたりして。そしてそのダンスが、男女で手を繋いだりするんですよ。こうやって恋人ができていくんだな〜と思ったり、すごくいい雰囲気でした。

東出 あとあれだ! 街を歩いているだけで水風船をぶつけられたりしたのも楽しかった!

ひろゆき そのお祭りで、気になっている女の子に水をかけるという伝統があるらしいんですよ。でもなぜか男の人にもバンバンかけていて…。

東出 まんまと当たりましたね。楽しかったです。

――1年に1回の祭りに参加できるとは、2人とも旅行運の引きがいいですね。

ひろゆき それは僕らじゃなくて、(同行のディレクター)豊川さんな気がします。

東出 殴られたりしていましたよね(笑)。

ひろゆき あれはすごい。エクアドルの中でも比較的に治安が良いと言われる街でタクシーに乗った瞬間に殴られましたから。

東出 引きがいいなんてもんではない。自ら撮れ高を作っていました。


――豊川さんがこの旅のスパイスになっているんですね。

東出 豊川さんは3人で部屋割りジャンケンするときも、一番に勝ってドヤったりするんですよ。「申し訳ない」みたいなことを言っているけど顔はめちゃくちゃ笑っている…。そういう人間的な部分は面白いんですが、旅をする番組なのに調べなさすぎでずさんなところが多すぎるんですよ。例えばボリビアには、崖から車が落ちて何十人も亡くなっているデスロードと呼ばれる悪路があるんですが、僕ら陸路縛りだからそこを行くしかなくて…。地元の人に「オマエたちは死ぬ気か?」って言われて驚きました。

ひろゆき その街の道路にちょこちょこ祠があるんですよ。それってそういうことで…。そういう「本当にここ行かすの?」ということがちょこちょこあります。

東出 普通なら安全を確保するけど、その配慮が全然ない。それがこの番組らしさではあるけど、どうかな?とは思っています(笑)。


■スペイン語と日本語の共通点

――前回のインタビューで、ひろゆきさんは過去完了形を使わないなど、あえて簡単な文法の英語でコミュニケーションを図ったとおっしゃっていましたが、今回はどうされたのですか?

東出 スペイン語を勉強していましたよね。

ひろゆき 着いてから、スペイン語環境の中で少しずつ話したら意外とできるようになりました。それは映像で見たらよくわかるのかも。最初はまったくわかっていないけど、後半になるとなんとなく理解しているので。

東出 話せるのはすごいですよ。僕は「トイレはどこ?」「ビールをください」しか覚えていないですから。

ひろゆき 旅行で話す言葉って大体限られているので、それらを伝える文法を覚えて、あとは必要な単語を当てはめていけば意外とできる。スペイン語って日本語と同じで、主語を飛ばしてもいい言語なんで割とラクなはず。

東出 あと僕が覚えたのは「ドス(2つ)」。これさえあれば、ひろゆきさんが注文したものを一緒に味わえるので。でも話せなくても結構楽しめちゃうんですよね、僕(笑)。

――東出さんの人懐っこさもこの旅の見どころですね。

ひろゆき でも今回、“キモイ”って言われていましたよ(笑)。山岳地帯でディスコに行ったんですが、そこの平均身長は低いんですよ。なのでその人たちから見ると長身の東出さんは気持ち悪かったみたいで…。

東出 こんな断られ方あるんだって驚きました。

ひろゆき まさかの出来事でかなり笑いました。


■ひろゆきさんもカメラの無いところで優しかったり


――思ってもみなかったことを言われるという…。この番組で東出さんの人となりもかなり垣間見られますが、自分を見せることに躊躇がなくなってきたのですか?

東出 躊躇があるかどうかは別として、日常は素直に過ごして、芝居のときは頑張るというスタンスに変わったのが大きいのかも。今は自己責任で全て自分の裁量でやっているので、野に放たれた“能天気野郎”って感じになっています。

ひろゆき でも素を出す必要はないじゃないですか。となるとバラエティーの仕事を今後、受けていったりするの?

東出 生活をさらけ出したいという気持ちはないのですが、今回みたいなのは面白いかなと。生活の軸は崩したくないので、自分なりに線引きしてやっている感じです。

ひろゆき 僕は素を見せたいとか見せたくないとかそういうことを考えないでやってきたんで、なんか面白い。どう感じるかはその人次第って思っているので。

東出 でもひろゆきさんも優しかったりするじゃないですか。高山病で倒れた豊川さんにパイナップルを差し入れしたりとか、カメラの回っていないところでちょこちょこ気を遣ってくれていて。そういうところは逆に見せようとしていないのかな?と思っていました。なんか自分の美徳に反する感じで。

ひろゆき そこまで考えていないけど。いい人かイヤな人か、どう思われようとあまり気にしないんです。

東出 まぁ優しいところもあるし性格が悪いところもありますしね(笑)。それが人間な気もします。

――最後に番組の見どころを教えてください。

ひろゆき あまり見たことがない南米が映っていると思います。ちなみに個人的なことを言うと、旅の中で僕が一番うれしかったのはカカオ豆を包んでいる白い果肉を食べられたこと。現地の人は食べていて美味しいと聞いていたので、どんな味か知りたかった。マンゴスティンのような味がしました。

東出 意外と植物好きですよね。

ひろゆき 現地でしか食べられないものや体験できないことに興味があるんですよ。

東出 それは今回もたくさんありましたね。僕は田舎で出会った人たちとの触れあいが面白かった。空路の旅では味わうことができない、その土地の温かさを感じられましたから。ぜひ楽しんでいただきたいです。

取材・文=玉置晴子
撮影=宮川朋久