「次世代の映画監督を育成する」をモットーとした、「夢のある映画祭」として、2023年に誕⽣した東京インディペンデント映画祭が開催された。審査委員⻑には、藤井道人監督、綾野剛、映画ライターのSYOなどが集結した。

■292作品の応募から選ばれた「東京逃避行」秋葉恋監督

2023年12⽉1⽇より作品募集が開始され、3ヶ⽉間で292作品の応募が集まった。その中から授賞式ではグランプリ、準グランプリを発表。審査員⻑である藤井監督、阿部雅⼈(松⽵・プロデューサー)、⼩出真佐樹(ロボット・プロデューサー)、SYO(ライター)、古川達⾺(編集技師)、菅井ひなの(映画祭キュレーター)も登壇した。

今回グランプリを受賞したのは「東京逃避行」で秋葉恋監督。「僕は18歳の時に高校生映画甲子園で藤井監督から最優秀監督賞をいただいて、そこからいろんな現場を通して制作をしてきましたが、やはりもう一回藤井さんに映画祭で会うということは大きな目標としてずっとありました。これからも藤井道人監督の元で、自分が若いからこそ出せる個性だったり問題だったりと向き合いながら作品を作っていくので、これからもよろしくお願いします。」とコメントした。

準グランプリを受賞したのは⼤⿊友也監督と川中⽞貴監督。⼤⿊は「今回こういった賞を頂けて本当に光栄に思います。この作品を通していろんなん人と出会って縁を感じる経験ができました」と喜びを噛み締めた。川中は「私は映画大好き少年で始めた人ですが、長いことPVや広告周りをしていて実写っぽい映像というのは20年ぶりに作らせていただいたのですが、その機会にこのような結果になりありがたい気持ちでいっぱいです。」とコメントした。

■綾野剛「どう未来を切り拓いていけるかを一緒に考えていきたい」

特別審査員の綾野剛は「共に考え、共に学び、共に走ることができるとも思っています。この先もどう未来を切り拓いていけるかを一緒に考えていきたいと思っていますので、そういったところも含めこの映画祭が豊かになっていきますように心より願いを込めて。今日はありがとうございました」と語った。

審査員⻑の藤井監督は「6作品本当に票が割れたんですよね。昨年に⽐べ今回は2時間きっちり、何度も観て審査員の中でみんなが作品の好きなポイントをたくさんディスカッションをしました。そして、準グランプリに選ばれた2作品は、審査員の中でもすごくポイントが⾼くて、いますぐに獲りに⾏けるレベルだなと、僕たちが何もしなくても成功するだろうというような作品でした」と称賛。

グランプリを受賞した秋葉さんに関しては、「⾼校⽣の頃から知っていて、ノミネート作品の中に彼の作品があったときに、やだなと思ったんです。やっぱり同じ⽬線で⾒れないし、彼には厳しい⽬線で育てたい、育ってほしいと思っていたので。ただやっぱり映像を⾒たときに、『彼は持っているな』と思いました」とコメント。

「6作品の中では映像のクオリティーは良くないし、無茶苦茶なことをやっているし。ただ、彼をフックアップできる映画祭でいないと僕たちはカッコ悪い⼤⼈になってしまうかもしれないという気持ちになりました。荒削りのものを閉じ込めたらプロになれるのではなくて、そこを伸ばすからみんなに⾒てもらえる映画監督になれるんじゃないかと信じたい。そういう意味で、僕たちはサポートするという⽴場にふさわしいのは『東京逃避⾏』なんじゃないかという思いで、決めさせていただきました。僕らも審査するという⽴場の上でとても勉強になりました」と総評し、授賞式は幕を閉じた。