複数の職員へのパワハラやセクハラ発言などをくり返した愛知県東郷町の井俣町長が25日朝、町議会に対して5月2日に辞職する考えを明らかにしました。  25日朝に開かれた東郷町議会の全員協議会で、井俣憲治町長は24日辞職願を提出したことを明らかにしました。 井俣町長: 「東郷町のためにどう進むか方策として話を進める中で、今回辞職する決断を固めた。ハラスメントの対象になった職員の皆さまに改めておわび申し上げたい。自身が無知であったこと、不勉強であったことを改めて恥じる」  問題が発覚したのは2023年11月、東海テレビは、井俣町長が職員にパワハラとみられる発言をした際の音声を入手し報道しました。

<井俣町長の発言の音声データ> 「バカじゃねえか。本当にバカじゃない」 「そんな奴おれへんて。お前ぐらいだって、そんなアホ」  当時の町職員の証言で井俣町長のハラスメントの実態が次々と明らかになりました。 東郷町職員の男性: 「これから手術をする女性職員に対して『いつ巨乳になって戻ってくるの』って声をかけたんです」  発覚後、井俣町長は…。

井俣町長: 「お笑い的な物言いの中で無配慮に使ってしまった。相手も冗談で返していて、その場では大きな笑いが起きていた」  そして4月22日、第三者委員会が調査報告書を公表しました。「お前らの脳みそは鳩の脳みそより小さい」「三流大学以下」といったパワハラ発言に加え、セクハラやマタハラを含む職員への複数の言動がハラスメントに認定されました。

 これらの言動は事実だったのでしょうか。井俣町長は25日の会見で、「育休を一年とったら殺すぞ」など認定されたハラスメントの一部は、『記憶にない』と反論し、あくまで辞職の理由は「町政の鎮静化のため」などと説明しました。 井俣町長: 「一部誤解があったり、私のところにも認識しきれていない事案があるのも事実です。私のハラスメントの知識の無さが、多くの職員、報道を見た国民、町民に不快な思いをさせたことは、資質がないというよりも知識がなかったことは反省している。個人としては一定程度の成果を6年の短い時間でしたがいくつか挙げられたのでは」  会見を聞いた現役の町職員は…。 東郷町職員: 「ご自身のハラスメントへの認識が『間違っていた。甘かった』という発言をしているが、今この瞬間正しく認識しているかというと、必ずしもそうとは言えないと思います。今、東郷町役場という組織が健全に機能しているかというと、悲しいけれどそうとは言えないような状況にある。少しでも早く正常な状態に戻ればいいと思うし、そのために努力していきたい」  5月2日付で辞職するという井俣町長。5月に辞職することで6月にボーナス約200万円が支給されますが「現時点では返上は考えていない」と発言しました。次の町長選への出馬についても「全ての可能性を排除することはない」としています。

 他にも井俣町長は会見で、「ハラスメント」という言葉を用いて次のような持論も展開しました。 井俣町長: 「正しいことを抹殺するために『ハラスメント』という言葉が使われることは間違っている。自分にとっての不都合を『ハラスメント』という言葉で回避しようとするのも間違っていると感じている」

 辞職を表明した全員協議会の直後、町職員に背中をポンポンと押されエレベーターに乗るよう促された場面では、「触っちゃダメよ〜」と笑いながら発言しました。ハラスメントを茶化すようにも聞こえる発言です。