【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。アメリカで24日、日本でも大人気の動画投稿アプリ「TikTok」の使用を実質的に禁止する法案が成立しましたね。運営する中国企業「バイトダンス」が同アプリのアメリカでの事業を9か月以内に売却しなければ、国内での利用を禁止するとのことです。利用者データの中国への流出や世論操作など安全保障上のリスクへの対策ですが、これぞアメリカという強気の姿勢ですよね。

 今回は、そんな強国アメリカの国民性が感じられる映画として今月26日に公開されたばかりの「ゴジラ×コング 新たなる帝国」を紹介します。

 物語は単純で、コングのテリトリー「地下空洞」とゴジラのテリトリー「地上世界」が交錯。2体の王が対峙した先に起こる事態とは…といったストーリーです。

 今作はアメリカ発、ハリウッド版のゴジラなのですが、日本版とはゴジラの捉え方が大きく違う点がポイントになります。日本版のゴジラが迫りくる“天災”だとするなら、アメリカ版ゴジラは国を襲うモンスターなんですね。

 これはひとえに国民性、文化の違いから来るものなのではないのかなと僕は思います。当然国が違うわけですから、大衆にウケる作風が違うんですよね。日本は太古から災害大国です。地震も津波も台風も火山も、小さな島国でそれらの天災を受け入れ共存していかなければなりません。ゴジラも迫りくる脅威ではあるけれども、どこか悲哀に満ちたような描き方になることが多いんです。

 一方、アメリカは開拓民の国で、侵略の歴史を持ちます。大陸に渡り未開の地を切り開いて、先住民や諸外国など敵対勢力を打ちのめしてきた背景がある。そのため、迫りくるゴジラは敵対するモンスターとして描かれ、みんなで立ち向かい、打ち倒す対象となるのです。

 今回のTikTok法案も、日本ではまず成立しないのではないかと僕は思います。なんだかんだ受け止め、共存していく方向へかじを切るのではないでしょうか。でも、アメリカにとっての中国はまさにモンスター、国を挙げて徹底的に戦うべき敵なんです。

 今年のアカデミー賞では、日本版ゴジラの最新作「ゴジラ―1.0」が視覚効果賞を受賞して話題となりました。この機会に2作を見比べて、ゴジラの描かれ方の違いを楽しまれてみてはいかがでしょうか。GWにおすすめの一本です。