1日のNHK連続テレビ小説「虎に翼」第23回は、ヒロインの法学生寅子(伊藤沙莉)の父・直言(岡部たかし)の裁判が始まり、法廷での意外な再会が視聴者の関心を呼んだ。

 政界絡みの汚職「共亜事件」で収賄罪に問われた銀行員の直言。寅子らは無実を信じ証拠も得たが、直言は自身の罪を認めて譲らない。別人のように萎えた姿は、勾留中の過酷な取り調べで心身ともに消耗してしまった様子。現在も批判される日本の「人質司法」に屈し、自白を強要された可能性をうかがわせる。

 そして始まった公判。傍聴席に座る寅子と母はる(石田ゆり子)は、裁判官席に現れた桂場(松山ケンイチ)を見て息をのんだ。はるに至っては後悔の念をにじませた悲痛な表情。ここで回想シーンが入った。

「いま君が先陣を切って血を流したとしても、何の報いもないだろう」と桂場が言い放つや、はるが「お黙んなさい!」。寅子が「お母さん!」と驚くと、桂場も目を丸くして「お母さん!?」と言って口をつぐんだ。

「女の幸せ」を願うはるは寅子に結婚を望み、大学への進学を「地獄」に例える。後日、母娘が待ち合わせをした場所で、寅子は面識のある桂場と遭遇。「地獄」への覚悟も示して思いをぶつけたが、返ってきたのは前出のセリフ。遅れてやって来たはるはその言葉に怒り、進学反対を翻したかのように六法全書を寅子に買い与えた。そんな因縁があるだけに、はるは桂場と法廷で再会したことに気まずさを募らせたのだった――。

 この一幕は4月5日に放送された。X(旧ツイッター)では思わぬ〝再放送〟に「好きなのでまた見れて嬉しい」「桂場さんの『お母さん〜!?』のシーン大好き」などと歓喜の声が上がった。桂場が口をへの字にした際の〝変顔〟が「かわいい」「めちゃくちゃ好き」とも。「何度見ても良い」と、もはや松ケン名シーンのような受け止めもあった。

「お黙んなさい!」についても「また見れてちょっと嬉しい」など。視聴者にこの回想場面はプレゼントになったようだ。