旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.)の前社長・藤島ジュリー景子氏が関連会社3社の会長職を近く退任すると一部で報じられた。昨年10月にすべての関連会社の代表取締役を辞任すると表明したものの、3社の会長職にとどまったままだった。その裏にはNHK会長から名指しではっきり指摘されたことが大きいという。

 SMILE社のタレントのほとんどはSTARTO ENTERTAINMENTに移行し、4月に本格的にスタート。民放各局は起用に温度差があるが、今もなお厳しいのはNHKだ。

 5月の定例会見でNHKの稲葉延雄会長は、故ジャニー喜多川氏の一連の問題に対する被害者補償と再発防止策について「一定の進展はある」としながらも「新規の出演依頼を行わない方針に変わりはない」と明言した。

 その理由として「(SMILE社とSTARTO社の)2社の取り組みを継続的に確認したい」としたが、もう一つがポイントだった。

「一部のグループ会社では旧ジャニーズ事務所の社長だった藤島ジュリー景子氏が会長にとどまっている。退任の時期についても引き続き確認していく」と名指しで指摘したからだ。

 ある制作会社関係者は「創業者一族の経営分離をここまで明確に求めた意味は重い。昨年10月にジュリー氏が旧ジャニーズ事務所をはじめ関連会社からも代表職を退くと表明してから時間が経ちすぎていますからね」と話す。

 タレントにとってNHKの番組に出演するメリットは多い。老若男女が視聴しているほか、再放送も多くその分の収入も確保できる。一部海外でも放送されているため、そこを視野に入れる役者には魅力的に映るのだ。

「なのに出られないとなれば、ジュリー氏も身を引かざるをえないのでしょう」(同)

 もちろん、見据える先は今年の大みそかの紅白歌合戦への出場があるのは言うまでもない。昨年の紅白では同事務所所属タレントは実に44年ぶりにゼロとなった。

「NHKの通常の番組にすら出演できないのに、紅白に出場できるはずがない。だとすれば、一刻も早く関連会社の代表職を退き、同局の信頼を得る必要があります」(芸能プロ関係者)

 一連の騒動が起きてから、岡田准一、生田斗真、二宮和也、松本潤が次々と独立を表明し、流出が続いている。その理由はCMが取れないなどさまざまだが、中にはNHKに出演できないというのもあるとみられている。

「松本潤もNHKに出たいと考えている一人と言われています。もっとも3社の会長職を辞したからといって、すぐにNHKの方針が転換されるかはわかりませんが…」(同)

 いずれにしても、急ピッチで対応するしかなさそうだ。