巨人は29日のヤクルト戦(東京ドーム)に0―9で惨敗。故障から約3週間ぶりに復帰した先発・グリフィンが4回8失点の〝背信投球〟を演じれば、打線もわずか3安打と沈黙した。

 4万人超の観衆を集めた本拠地で起きた惨劇に、阿部慎之助監督(45)は「今日しか見に来られない人も、もしかしたらいるかもしれない。ちょっとぶざまな試合だったので申し訳ない」と謝罪。その上で「明日はジャイアンツの選手がどれだけ〝切り替え力〟を持っているかという勝負」と前を向いた。

 貧打に苦しみながら、投手陣の踏ん張りもあって13勝11敗3分けで2位をキープ。球団関係者は「長いシーズンではこういう試合もある。阿部監督が言っていたように〝切り替え力〟が大事」とサバサバと振り返った。周囲が漂わせる〝余裕〟の一因は、球団が控える一大イベントを負け越しなしの状態で迎えられるからだという。

 5月3日に本拠地で行われる阪神戦は「長嶋茂雄DAY」と銘打たれ、同28日ソフトバンク戦の「王貞治DAY」とともに「球団創設90周年記念特別試合」に位置づけられている。

 当日は長嶋氏の教え子である松井秀喜氏が始球式を行うほか、監督やコーチ、ナインが永久欠番である「背番号3」のユニホームを着用。全国各地の映画館で「ライブ・ビューイング」も行われ、中畑清OB会長と高橋由伸元監督がゲスト出演する。

 チーム成績が低迷していれば何年もかけて準備してきた「目玉イベント」に水を差しかねない。前出の関係者は「5月3日までの残り2試合に負けたとしても勝率5割。少なくとも借金状態にはならない。ここまでの阿部監督とチームの頑張りのおかげ」と胸をなでおろした。

 3月29日の阪神との開幕戦を観戦に訪れた長嶋氏が、当日の体調次第では再訪する可能性も十分ある。お祭りムードをチームの勢いに変えたいところだが――。