F1のトップとして長年らつ腕を振るってきたバーニー・エクレストン氏(93)が、ルイス・ハミルトン(メルセデス)の名門フェラーリへの電撃移籍を批判した。

 F1界の〝ドン〟として多大な影響力を見せてきたエクレストン氏は、2020年に名誉会長を退任して以降は〝隠居生活〟を送っている。

 そうした中、オランダのモータースポーツ専門メディア「レーシングニュース365」のインタビューに登場。F1界を震かんさせたハミルトンの電撃移籍について持論を展開した。

「基本的に1年前から話は出ていたのに、なぜそんなこと(発表)をしたのか理解できなかった。なぜシーズン後半まで待たなかったのか」と、まずは発表の時期が早すぎると指摘したエクレストン氏。続けて「彼(ハミルトン)がこの件に巻き込まれたのは、ちょっとしたエゴだと思う」と主張した。

 さらに「フレッド(バスール、フェラーリ代表)は昔から彼を知っていたし、フェラーリのジョン・エルカン(会長)も、彼らから見れば彼はF1を代表するドライバーの一人だ。多くの人から見て最高のF1ドライバーを獲得できたことは、ちょっとしたエゴのようなものだと思う。こういうことは起こるものだ。いろいろな状況が重なったんだ」と移籍に理解を示しつつも、フェラーリが人気のあるハミルトンを強引に獲得したことを〝エゴ〟と表現して皮肉った。

 その上で、自身もかつてF1チームのブラバムを経営していた観点から、ハミルトンのようなドライバーと契約することは「ない」と断言する。その理由についてエクレストン氏は「手に負えないことが多すぎるんだよ。メルセデスでは、彼は本当にちょっと命令口調なんだ。トト(・ウルフ、メルセデス代表)が彼をそうさせているんだがね」とズバリ指摘。ハミルトンはチーム内で〝王様〟のように扱われ、時に増長しているため、全体のバランスを乱しかねないというわけだ。

 ドンから厳しい言葉を受けたハミルトンのフェラーリ移籍。世紀の移籍劇は名門にどんな結果をもたらすのだろうか。