ライスシャワー面目躍如のレースだった
ライスシャワー面目躍如のレースだった

【記者が振り返る懐かしのベストレース】ライスシャワーの天皇賞・春といえば、95年の“泥くさい復活劇”が有名だ。誰もが目を疑った3角からのロングスパート、さらには2着ステージチャンプ=蛯名の勘違いガッツポーズまで飛び出すオマケまでついて、今でも語り草のレースの一つとなっている。

 だが、ライスシャワーにとってのベストレースは、メジロマックイーンの3連覇を阻止した93年の方ではないか。調教過程から勝負師=的場を感じさせる鬼気迫るもの。南Dコースで追われたライスシャワーに鞍上はゴール板を過ぎてもムチの連打を容赦なく浴びせていた。当日の馬体重はデビュー以来最低タイの430キロ。前走の日経賞から12キロも絞り込んだ馬体は余計なぜい肉をすべてそぎ落とし、骨の上に筋肉が乗っているだけという状態。その目は怖いくらいに鋭かったことを昨日のことのように覚えている。

 ミホノブルボンを目標に定めた菊花賞以上にこの日のライスシャワーは“マーク屋”だった。メジロマックイーンの背後にピタリと張りつき、同馬が少しでも動けば手綱を押してついていく。直線入り口でマックイーンに馬体を併せ、アッサリと突き放したライスシャワーがライバルにつけた着差は2馬身半という決定的なもの。究極の仕上げと究極のレース。まさにベストレースにふさわしい。

 大記録を次々と阻止した“関東の刺客”として関西圏で敵役のような扱いが定着したのもこのレースの影響だろう。だが、菊花賞に続き、このレースもレコードタイム(当時)で優勝。“高速ステイヤー”という呼び名の方がしっくりくると個人的には思っている。(2008年4月30日付東京スポーツ掲載)

【1993年・天皇賞春】〝マーク屋〟の面目躍如!メジロマックイーンの3連覇を阻止したライスシャワー

著者:東スポ競馬編集部