東京プリンセス賞を制したフェルディナンド(ゼッケン6)
東京プリンセス賞を制したフェルディナンド(ゼッケン6)

 大井競馬場で25日に行われたSⅠ第38回東京プリンセス賞(3歳牝馬、1800メートル)は、6番人気のフェルディナンド(藤田輝)が接戦を制し重賞初制覇を飾った。勝ちタイムは1分57秒3(重)。クビ差の2着に1番人気のローリエフレイバー(月岡健)が入り、さらにクビ差の3着には3番人気の桜花賞馬プリンセスアリー(鹿沼良)が入った。なお、上位2頭はJpnⅡ関東オークス(6月12日=川崎2100メートル)への優先出走権を獲得した。

 ゲートが開くとフェルディナンドは中団に収まり、前半3ハロン通過39秒0のスローペースでも陣営が懸念材料に挙げていた折り合いを欠くことなく運んだ。残り5ハロンからペースが上がっても楽に追走。4コーナーで外に持ち出すと自慢の末脚が炸裂した。最後は粘り込みを図るローリエフレイバーをゴール前捕らえると桜花賞馬プリンセスアリーの追い上げもしのぎ切った。

 ジョッキー生活16年目の安藤洋(34=藤田輝)にとって、うれしい重賞初制覇。殊勲の鞍上は「デビューして10年くらいは下から数えたほうが早いくらいのジョッキーで、重賞に挑戦する機会もあまりなかったので夢みたいです。僕を拾ってくれた先生に恩返ししたい気持ちでいっぱいでしたので、今日はここで勝つことができて、すごくうれしいです」と万感の思いを明かした。

 2022年には藤田輝厩舎のクライオジェニックとコンビを組んで東京ダービーで12番人気ながら2着に好走したが、1番人気に支持された黒潮盃では人気に応えられず2着と悔しさも味わった。悲願でもあった自厩舎でのタイトル獲得。その願いがついにかなった。

〝相棒〟フェルディナンドには昨年11月のデビューVから5戦全て手綱を任され、一戦一戦、競馬を教えてきた。7ハロン戦でもひっかかっていた馬が、この日はパドックからどの馬よりも落ち着き払ったたたずまい。昨年末のSⅠ東京2歳優駿牝馬ではローリエフレイバー相手に3着と後塵を拝したが、大一番で見事に逆転を果たした。レース前には安藤洋も「流れ次第では一発あるかもしれません」と、語っていたが予測通りの結果となった。距離不安を払拭し、勝利へと導けたのは陣営がここまで愛馬を大事に育ててきたからこそといえる。

「何より(安藤)洋一で重賞勝てたのでもう本当にうれしいです。攻め馬もずっと乗っていて、この馬のことを知り尽くしていますからね。洋一さまさまです」(藤田輝調教師)。これが記念すべき地方重賞30勝となった指揮官も愛弟子の重賞初Vを手放しで喜んだ。

 これで南関東牝馬3冠レースの最終関門・JpnⅡ関東オークスが視野に入った。9ハロン戦のスローペースでもかかることなく、しまいまできっちり脚を使えていたのだから2100メートルへの距離延長にも十分対応できるはず。JRA勢が相手でも、3歳女王フェルディナンド&安藤洋のコンビなら期待を裏切らない走りをみせてくれることだろう。

著者:東スポ競馬編集部