それに西葛西で開かれるホーリーやディワリーといったインドの祭りにも参加し、名前や顔を売り、多くのインド人にチラシを手渡した。また地域の行政書士会にもあいさつして仁義を通すことも忘れない。そのつてで仕事を紹介してもらうこともあった。

西葛西で開かれた「ホーリー」 西葛西でも開かれたインドの色の祭典「ホーリー」ではご覧のありさまに(恩田さん提供)

そして「スワガット・インディアンバザール」にもあいさつを、と行ってみたところ、ビネスさんはなんと恩田さんの宣伝ポスターを店内にドーンと張り出してくれたのだ。

「スワガット・インディアンバザール」に恩田さんのポスターがある。これを見て連絡してくるインド人も多いとか(筆者撮影)

「恩田さんはロイヤーになる前にも来てくれたことがあって、日本語の書類を読んでくれたり、いろいろ助けてくれたからね」

ビネスさんは言う。そのおかげもあって少しずつお客が増え、仕事は安定していった。いまではすっかりリトル・インディアの有名人で、毎日インド人たちに呼ばれて西葛西を駆けまわるが、忙しさの中でも時間をつくり、英語の勉強を続けている。

「英会話教室に通って、法律用語の翻訳のレッスンを受けたりしているんです」

法律関係の用語は英語のほうが理解してもらいやすい

西葛西のインド人たちはIT関連の駐在員が中心で、教育レベルは高い。だから日本語がわかるインド人もたくさんいるが、法律関係の用語になると英語のほうがずっと理解してもらいやすいのだ。

こうして努力を重ねてインド人コミュニティーに食い込んだ恩田さんのような存在は重宝されて仕事が集中し、てんてこまいだ。それだけ外国人案件を扱う行政書士がまだ少ないということでもある。つまり、外国人が急増しているいま、チャンスが広がっている業界ともいえるのだ。