80cm越えで6キロの巨大なヒラメを持つはまゆう氏。17歳で漁師の世界に足を踏み入れた。魚への愛着はひたすら強い(写真提供:はまゆう氏)

早朝から漁に出て、ひたすら魚を追い求める――。一見するとハードに見える漁師の仕事だが、実際の姿はどうなのか。ここでは、香川県・小豆島で漁師を営み、今や「小豆島の漁師はまゆう」で、チャンネル登録者数約80万人を誇る漁師YouTuberのはまゆう(濱田祐輔)氏にインタビュー。漁師になった経緯や仕事の魅力などについて語ってもらった。

週刊東洋経済6月1日号(5月27日月曜日発売)では、「全解剖 日本の魚ビジネス」を特集。漁獲量がピークから7割以上減った日本の漁業の現状や、サンマやウナギなど獲れなくなった魚種の行方、今後の復活のカギを握る日本の養殖ビジネスなどを取り上げている。

高校を中退して実家に戻った。開業資金は400万円

――17歳で漁師を始め、今年で30歳を迎えました。そもそも、なぜ、この仕事に就いたのですか?

祖父や父が漁師だったこともあり、物心がついたときには自分もなろうと思っていた。子どもの頃、将来の夢に「漁師」と書いていたくらいで、他の選択肢はなかった。そうしたこともあって水産系の高校に進学したが、なじむことができずに中退し、半年間は実家の海苔養殖を手伝い、その後は一緒に建て網漁を始めるなど、徐々に経験を積んでいった。

ただ、20歳の頃に何か自分で始めたい、社長になりたいと思い、漁師を辞めて営業の仕事に就いたが、結局は肌に合わず、実家の手伝いに戻ったこともあった。23歳になり、それなりの経験を積んだので、中古の船を150万円で買ってサワラ漁などに取り組んだ。開業資金はもろもろで400万円はかかったが、貯金や融資などでまかなった。

YouTubeを始めたのは、25歳のときに「梧桐ゆずりは」さんという漁師YouTuberの動画を観たのがきっかけで、自分も挑戦したいと思った。動画はいきなりブレイクしたわけではなく、ひたすらクオリティを磨いたことで徐々に右肩上がりを続け、登録者数もようやく78万人を超えた。「動画で紹介していた魚を買ってみた」「さばいてみた」というコメントは当初からあり、その輪がどんどん広がっていったと実感している。