そのように来店ハードルを上げても、ロイトシロはたちまち繁盛店となったのだ。店内には、常連客から贈られたという2人の似顔絵が飾られているなど、ただ人気があるだけでなく、愛されていることも伺える。

和志「歌舞伎町だけど治安はいいよね。お客さんに迷惑がかからないよう、酔っぱらっている人はお帰りいただいていますし」

玄太「たまに男性客が女の子に近づこうとすると、『話しかけるんだったらお酒でもおごったら?』って、やんわりと間に入ったりしますね」

玄太さん(撮影:梅谷秀司)

和志「女性客が多いので、緊張するっていう男性も多いですけど、おじさんが一人でいらっしゃったりもしますよ」

玄太「若い女の子が自分のことを気にしてるって思っちゃダメです。おじさんは匂いだけ気にしておけば大丈夫(笑)」

軽妙な掛け合いで、和志さんと玄太さんはお店について説明する。だが、今でこそ順調だが、開店から1年も経たないうちに、新型コロナという未曽有の事態に直面した。「こんなにも簡単にお客さんっていなくなるんだな、って」と、二人は当時の心境を明かす。

コロナでも閉店は一切考えなかった

時短営業やお酒の提供自粛の要請、激減する客数や売り上げ、先が見えない不安、申請してもなかなか振り込まれない助成金など、マイナス材料ばかり積み重なっていったが、お店を閉業するという考えはまったくなかった。

和志「お客さんが少なくはなったんですけど、(通常営業での再開を)楽しみに待ってくださる方もいたので、辞めるっていう考えはなかったですね」

玄太「夜遅くはお店に来にくかったけれど、コロナ禍で時短営業になって、営業時間も早まったので、逆に来られるようになった方もいました。それで今も来られている人もいます」

和志「一周年のときも、運よく時短営業の影響がなかったりとか、何とかなっていたので、気持ちも保たれてたのかもしれないですけどね」