日々、多くのストレスにさらされる現代社会では、「心の病」はけっして特別な病気ではないと、精神科医の広岡清伸氏は指摘します。それでは、誰もがかかる可能性のある「心の病」を早期に発見し、有効な治療を受けるためには、どうすればいいのでしょうか。これまで1万人を診察してきた経験をもとに、精神科への受診を検討する基準と、患者が送っている「心の病」のシグナルについて、広岡氏が解説します。

*本稿は広岡氏の著書『心の病になった人とその家族が最初に読む本』から一部を抜粋・編集してお届けします。

家族が「心の病」になったら、まず何をすればいいか

家族の誰かが心の病になったときに、気がかりなのが、心の病の患者となった当人とどのように接すればよいか、ということでしょう。

アプローチの仕方は「家族間の関係性」「悩みの原因」「病状の重さ」「病気の認識の有無」によって異なってきますが、共通する大切なことがあります。

もしも、家族の誰かが、近頃、様子がかなり変だと思ったら、精神科への受診を慎重に勧めてほしいのです。精神科の専門医に相談すると、きっと苦悩をやわらげられることを丁寧に伝えてください。

まず、家族は心が病んでいる人の味方になって、そばに寄り添うことが重要です。