島根・鳥取両県の住民が松江市の島根原発2号機の運転の差し止めを求めた仮処分で広島高裁松江支部は、5月15日、住民の申し立てを退ける決定を出しました。

午前10時すぎ、裁判所の建物から出てきた住民代表が掲げた幕には「司法は住民を見捨てた」。
広島高裁松江支部は島根原発2号機の運転差し止めを求めた仮処分の申し立てを退ける決定を出しました。

申立人のひとり・土光均さん:
「私たちの声が届かなかったということで、非常に残念。原発の稼働を優先させたということですが、理由もきちんと分析して本訴では改めて主張していきたい」

中国電力が2024年12月の再稼働を予定している島根原発2号機。
島根県と鳥取県の住民4人が地震や火山噴火など自然災害のリスク想定や避難計画の実効性が不十分などとして、去年3月、運転しないよう求める仮処分を申し立てました。

決定の理由について、広島高裁松江支部の松谷佳樹裁判長は、想定される原発での揺れの大きさについて「原子力規制委の審査に欠落、過誤があるともいえない」としたうえで、避難計画の実効性についてはその内容に言及せず、「重大事故が発生する具体的な危険性があるとまではいえない」として、住民側の主張は「前提を欠くと言わざるを得ない」と指摘しました。

これを受けて住民側の弁護団は…。

住民側の代理人・海渡雄一弁護士:
「規制委員会が良いと言っているからそれでいいんですって完全に思考停止してしまっている。現在分かっていることだけに対応していればいいので、今後何か起こることについては何もしなくてよいという判断になっている」

原子力規制委の判断を追認する決定だと非難しました。

住民側は抗告しない方針で、並行して進めている中国電力を相手取った裁判で運転差し止めを求める考えです。

一方、中国電力は会見を開き、「当社の主張が裁判所に認められたものであり、妥当な決定をいただいた」とコメントしました。