能登半島地震の発生から4カ月。復興の進み具合は、町によってさまざまなのが実情です。

にぎわいを取り戻した加賀市の温泉街。足湯を楽しむ人たちの姿もありました。7日からは、北陸応援割(石川)の第2弾も始まります。
みやびの宿加賀百万石・浅利浩さん:「(北陸)応援割、新幹線の延伸、2つ重なったおかげで、ご利用のお客さまも戻ってきていただき、心強い限りだなと思っております」

一方で、いまだに観光客を受け入れることができずにいる温泉街もあります。
能登半島を代表する温泉地・和倉温泉では、地震発生から4カ月たったいまも、すべての旅館が休業したまま。復旧を妨げている要因の一つが、七尾湾の護岸です。

創業130年を超える老舗旅館『ホテル海望』。自慢の露天風呂は地盤が沈下し、建物の足元の護岸が約100メートルにわたって崩れました。
ホテル海望・倉本三賀専務:「露天風呂を新しくつくるとなると、どうしても護岸を直さないと取りかかれない。傾いてしまった建物の取り壊しと、新たな建物を建てるにしても、安全上の問題から、護岸の修復が絶対になる」

和倉温泉にある旅館の多くは、七尾湾を臨む海岸沿いに建っていますが、地震でその護岸が約2.8キロにわたって、複数カ所で崩れ落ちました。

旅館組合は、先月、行政に早期の修復を申し入れ、七尾市と県が話し合いを始めていますが、具体的なことはまだ何も決まっていません。
ホテル海望・倉本三賀専務:「金銭的な見通し、新しい建物の建設。何事もめどが立たないのは、つらいところ」

『ホテル海望』の料理長・孫八清史さん(49)。ひと月ほど前からクリーニング店の工場でアルバイトを始めました。七尾市の断水は解消しましたが、旅館内の配管の修理が終わっていないため、厨房もいまだに水が使えません。それでも、週に一度は厨房に足を運び、片付けなどをしています。
ホテル海望・孫八清史料理長:「つらいですね。調理師として、いる場所にいられない」

七尾市出身で、高校卒業後、料理の道に進んだ孫八さん。能登の海産物をふんだんに使った料理が自慢でした。営業を再開できるまでには、年単位の時間がかかるとみられます。先の見えない日々のなかでも、料理への熱意は変わっていません。
『ホテル海望』の料理長・孫八清史さん:「必ずもう一度、戻れると思っています。お客さんに喜んでもらえる料理を出すのが私たちの使命」