サタデーステーションは、私有地に無断で土砂を下ろす業者を独自取材。その現場から取り締まりが難しい背景が見えてきました。

高島彩キャスター:
スタジオには現場を取材した染田屋ディレクターに来てもらいました。よろしくお願いします。

板倉朋希アナウンサー:
VTRにもありましたように違法な土砂の投棄が相次いでいるということですが、実はちょうど1年前に危険な盛り土を規制する「盛土規制法」が施行されています。この法律は3年前に静岡県熱海市で起きた土砂崩れがきっかけで作られました。この法律、県や市など自治体が盛り土に関する規制区域を設けて、区域内で行う盛り土については許可が必要になるというものでして、無許可で盛り土をした法人には最高で3億円の罰金が課せられます。

高島彩キャスター:
法律をきちんとつくったにも関わらず、不正な盛り土がなかなか減らない、むしろ増えているのはなぜなんでしょうか。

染田屋竜太ディレクター:
実は、「盛土規制法」というのは4月時点で全国で14自治体しか運用されていないんです。先ほど出てきた規制区域の指定に時間がかかってしまっているということです。

高島彩キャスター:
区域を指定せずに、最初から全部の土地を規制したらいいんじゃないかなと思うんですが、それはどうしてなんですか。

染田屋竜太ディレクター:
この規正法では人の命に関わるような場所を規制しなさいとなっているので、じゃあどこが危ないのか見極めるのかに時間がかかっているんです。また、国土交通省では、来年5月までに9割の自治体で規制区域の指定が完了するというふうに見ています。

高島彩キャスター:
その指定が完了して「盛土規制法」が全国で運用されるようになれば、不正な盛り土が減っていくということになるんでしょうか。

染田屋竜太ディレクター:
それがそうでもなさそうなんです。土砂の処理は、建設業者から出て保管場所を経て最終処理場に行くのですが、実はすごくチェックが緩いんです。書類もあるんですが、チェックは形骸化しています。一方、産業廃棄物の処理は、運搬後の確認や報告などがたくさんあって、データが電子化もされていて厳しいんです。なぜ、ここまで土砂の処理が緩いのかというと、土砂というのは廃棄物じゃなくてリサイクルできるものという位置づけだからなんです。

高島彩キャスター:
実際にリサイクルされているということではあるんですけれども、今回VTRにあった福島や栃木のような不適切な処理が行われる背景には何があるんでしょうか。

染田屋竜太ディレクター:
土砂を運ぶときに最終処分場に持って行くのは料金がかかります。なので、そこの料金を浮かせてしまおうという業者の考えがあったり、また、今都心でどんどん地価が上がっていますよね。そうすると、どんどん深く深く工事して行って、土がどんどん出てきてます。これからも開発は続きますし、インフラの整備が続くので土砂はどんどんこれからも出てくるというふうに見られているんですね。

高島彩キャスター:
そうした中、土砂の抱える問題を柳澤さんはどうご覧になっていますか。

ジャーナリスト柳澤秀夫氏:
最終処分場の確保がなかなか難しいので、故意にチェックが緩くなっているのではないか、それによって処分場を事実上確保してるんじゃないかなという見方をしてしまうんですよね。その処分場ということでいうと、原発から出る核のごみの最終処分場と、問題の根幹の部分が何か共通して見えてくる。そんな気がしますね。

高島彩キャスター:
VTRでも最終処分場はあるけれども、もうほとんどいっぱいだということでしたよね。

染田屋竜太ディレクター:
各地の最終処分場がどんどん埋まっていってしまっている。だから、持っていき場所がないというのが業者の方の悩みでした。

高島彩キャスター:
最終処分場の確保というのも必要だなと感じますし、元請け業者が責任を持って確認するということも必要ですね。ルールの抜け穴を防ぐ対策が急がれます。