台風1号の北上に伴い、気象庁は鹿児島県と宮崎県に加えて新たに奄美地方にも線状降水帯の予測情報を発表しました。

■線状降水帯予測 新たに奄美地方にも

 台風から離れた地域でも雨は強まってきました。27日午前中、雨のピークを迎えた静岡県浜松市。傘を忘れた女性、ずぶ濡れで服を乾かしています。

傘を忘れた人
「帰れなくて乾かしているので、乾いたら帰ります。むちゃくちゃ寒いです」

 海沿いも徐々に危険な状況です。

釣りをしていた人
「キスだね、ちょっと小さい。この雨じゃちょっとできない。(海の)色も濁ってきたし」

 和歌山市でも車が水しぶきを大きく上げています。

観光客
「神社も雨だから石段上らないで、下でお参りして。残念です」

 気象庁は警戒を呼び掛けています。

福岡管区気象台
「九州の南部を中心に27日夜遅くから28日昼前にかけて断続的に非常に激しい雨や猛烈な雨が降り、広い範囲で大雨となる恐れがあります。警戒レベル4相当の土砂災害警戒情報を発表する可能性もあり」

 気象庁は宮崎県と鹿児島県に線状降水帯の予測情報を発表しました。27日夜から28日の日中にかけて線状降水帯が発生し、災害の危険度が急激に高まる可能性があるとしています。

 鹿児島市内では川もかなり増水しています。

■「台風1号」最新進路は

 その雨の原因となっているのは台風1号です。26日に発生した台風1号は強い勢力となり、フィリピンの東を進んでいます。沖縄県から関東にかけての広い範囲で、29日にかけて大雨の恐れがあります。

 気掛かりなのは去年の台風2号との類似点です。去年6月の台風2号では次々に線状降水帯が発生し、死者6人の被害が出ました。進路や上陸しなくとも梅雨前線を刺激することなど、類似点は多くあります。

 台風1号は、すでにフィリピンで甚大な被害をもたらしています。27日朝に撮影された映像では横殴りという表現を超えるほどの強烈な雨と風。木々は根元から揺さぶられ、風の強さで雨は一瞬にして画面を左右に駆け抜けていきます。

 台風はインフラにも影響を与えています。完全に横倒しになってしまった電柱。道を遮り、通行することができません。別の写真では手前から奥へと、通りの電柱が一様になぎ倒されてしまっていることが分かります。

 街では混乱も。木が倒れ、白い車の後部は押し潰され、その重さで前輪が浮いてしまっています。

 台風の影響で教会の前にあった樹齢約100年のアカシアの木が倒れたのです。現地の自治体によりますと、幸いけが人はいませんでした。

 フィリピンに多大な影響を及ぼしている台風1号。心配されるのは、その勢力がさらに発達しているという点です。

 気象庁は27日朝、最大風速35メートルを伴う「強い」勢力へと発達したことを発表。自転車並みのスピードで今後、沖縄に接近していく見込みです。

 最大風速35メートルとは、どれくらいの風なのか。時速に換算すると126キロ、特急列車並みの速さです。

 沖縄県では、すでに農家が対策に追われています。雨が降るなか行われていたのは杭打ち作業。今月に植えたばかりのオレンジの苗が風で折れてしまわないように早めの対策をしたそうです。