全米の大学でイスラエルへの抗議デモが激化しています。ロサンゼルスの名門大学では、イスラエルとパレスチナの支持者が衝突。ニューヨークでは、イスラエルに抗議し、大学施設を占拠していた学生を警察が強制排除する事態に発展しています。

■ガザめぐりUCLAで衝突

真夜中の大学構内で、ある集団が別の集団に襲い掛かりました。掲げている旗に書かれていたのは、ヘブライ語で「救世主(メシア)」を意味する言葉。つまり、親イスラエル派です。襲われているのは、イスラエルへの抗議としてテントで座り込みを続けている学生たちです。

テントによる抗議活動が始まって1週間が経とうとしていたタイミング。それに対し、親イスラエル側が力による排除を試みたとみられています。現地メディアによると、衝突の数時間前に大学側が「構内の座り込みは違法」だという声明を発したといいます。これが引き金になった可能性があります。イスラエルをめぐる若者たちの分断が、想像以上の速さで進行しているのかもしれません。


■警察が突入“反戦学生”排除

それとは別の構図で起きた衝突も。こちらも名門校、コロンビア大学です。事態が動いたのは午後9時過ぎ。学生たちが占拠する建物入口のバリケードの撤去とともに、止めようとする学生の拘束が開始されます。閃光弾と思われる音が鳴り響くなか、激しいもみ合いが起きます。この日、拘束された人は230人に上るといいます。

なぜ事態はここまでエスカレートしたのか。全米に広がるきっかけになった座り込みの抗議活動は、2週間前にコロンビア大学で始まりました。しかしその翌日に警察が介入し、100人以上が拘束されます。警察に出動要請をした学長に、学生たちからの批判が強まります。

ただ、もともと彼らの怒りの矛先は国ではなく、大学側に向いていることは、あまり知られていません。アメリカの大学は、大企業からの多額の寄付金と、その運用で得る利益で成り立っていますが、そこにはイスラエルの軍需産業と関わりの深い企業も多くあります。

学生たちの根底にあるのは「こうした企業の金で学んでいたら、戦争に加担しているのと一緒だ」という当事者意識です。

コロンビア大 大学院4年 ジョナサン・ベンメナヘムさん
「我々の要求は、大学の投資先への透明性と、イスラエルによる虐殺で利益のある企業との関係断絶です」

コロンビア大4年 セバスチャン・ゴメスさん
「1968年、軍が兵器開発研究を大学施設で行っていたので、ベトナム戦争反対デモが起きました。だから我々にもできると自信が湧いてきます」