2023年、静岡・牧之原市で3歳の女の子が通園バスに置き去りにされ死亡した事件の2回目の公判が15日 開かれ、元クラス担任の被告人質問が行われました。

(増田 立義 被告)

「事件後に運転手から降車確認をしなけれなならないと聞いて、あ、そうだったんだと思いました」

4月から始まった元園長と元担任の裁判。

2023年9月、牧之原市の川崎幼稚園で河本千奈ちゃん3歳を通園バスに置き去りにし、重度の熱中症で死亡させたとして元園長・増田立義被告と、当時のクラス担任の女の被告が業務上過失致死の罪に問われています。

起訴状などによりますと、増田被告は園管理者としての責任とバスの運転手として千奈ちゃんを車内に置き去りにした2つの責任、元クラス担任の被告は、千奈ちゃんが登園していないことを知ったあとも保護者に連絡をせず、所在の確認をしなかった責任を問われています。

そして、15日、2回目となる公判が静岡地裁で開かれました。

(杉本 汐音 記者)

「元クラス担任の被告が静岡地裁へと入ります」

15日の公判では、当時のクラス担任の被告への被告人質問が行われたほか、裁判官から増田被告への補充質問が行われました。

上下黒色のスーツ姿で出廷した元クラス担任の被告。うつむきながら傍聴席と弁護側に一礼した後証言台へと向かいました。弁護側は、事件当時の状況などについて元クラス担任の被告に質問しました。元クラス担任の被告は弁護側から「事件はなぜ起きたと思うか」と問われると。

(元クラス担任の被告)

「私が確認や連絡を怠ってしまったからだと思う」

元クラス担任の被告はそう答えました。

事件当日。副担任は登園状況について把握する登園システムで千奈ちゃんは「未入力」であると、当時クラス担任だった被告に報告しました。それまで千奈ちゃんが事前の連絡なく休むことはありませんでしたが、当時クラス担任だった被告は、その後も千奈ちゃんの登園状況を保護者などに確認することはなく、未入力の状態から「休み」と思い込んだといいます。当時の状況について元クラス担任の被告は。

(弁護側)

「『未入力』とあってどう思いましたか?」

(元クラス担任の被告)

「まだ来ていなかったので、もしかしたらお休みかもしれないと頭の中にありました」

園では、朝、給食の人数を確認するため欠席の園児の名前がホワイトボードに書かれることになっていました。そこに千奈ちゃんの名前はなく「出席」扱いになっていましたが、当時クラス担任だった被告は、千奈ちゃんの不在に気づくことはできなかったといいます。

裁判には「被害参加制度」を利用して、千奈ちゃんの遺族も参加。千奈ちゃんの父親からは、登園しているはずの千奈ちゃんがいないことを確認できるタイミングが何度もあったのではないかと問われました。

(元クラス担任の被告)

「5、6回くらいあったと思います。自分の意識の中で最初にお休みと思ってしまった部分がありました」

何度も見過ごされて奪われた千奈ちゃんの命。最後に千奈ちゃんの父親は元クラス担任の被告に対し、こう問いかけました。

(千奈ちゃんの父親)

「千奈がいないということを気づいていたのに、確認しなかったあなたの罪は重いと思うが、どう思うか」

(元クラス担任の被告)

「私の責任であると思っているので重いと思っています」

その後、当時バスを運転していた元園長の増田被告に対し裁判官による質問が行われました。裁判官から、降りていない園児がいないかバスの後ろまで確認しなかったことについて問われた増田被告は。

(増田 立義 被告)

「事件後にいつもの運転手から降車確認をしなけれなならないと聞いて、あ、そうだったんだと思いました」

さらに初公判で、バスの中で1人で残っていた千奈ちゃんが、後から来た別の送迎バスを見て、「あっケーキバス」「後ろから来てるよ」などと声を上げたことが、ドライブレコーダーに記録されていましたが、増田被告は千奈ちゃんの声に気付かなかったことを明らかにしました。改めてその時の状況について問われると。

(増田 立義 被告)

「記憶にないと思います」

裁判は6月13日に開かれる公判で結審する見通しで、千奈ちゃんの両親が処罰感情を述べる意見陳述などが行われる予定です。