行くあてのない猫を保護した樹さんとパパさん夫婦。あれよあれよと猫は増え、いつしか11匹と2人の大家族に!そんな愛猫たちとの日々を、YouTubeチャンネル「にゃんかつ」(https://www.youtube.com/@nyankatsu)で配信中。現在では登録者数が10万人を超え、世界中にファンがいるという。

「にゃんかつ」は、そんな樹さんと猫たちの暮らしを漫画化したもの。保護猫の迎え方や多頭飼いの注意点など、猫が好きな人に役立つ知識やリアルな現実を届ける。

漫画を担当するのは、福島県の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅の猫駅長をモチーフにしたコミック「にゃん旅鉄道〜さくらの物語〜」著者のゆきよみさん(@yukiyomi333)。

今回は「クロ」との出会いについて。偶然保護した「ペコ」との暮らしにも慣れてきたある日、以前働いていた会社の先輩から突然電話が。聞けば飼い猫が子猫を出産したものの飼う余裕がなく、このままでは保健所に連れて行くしかないという…。

■室内飼いの猫もどんな病気を持っているかわからないから、まずは病院へ
5匹の子猫の内、どうしても引き取り手が見つからない子猫に会いに行った樹さん。真っ黒な子猫を一目見るなり「か…かわいい…!」と心を奪われ、「2匹なら留守番も寂しくない!もう飼う理由しか見つからない!」と、迎え入れることを即決する。

漫画ではクロを引き取ったあとすぐに帰宅するのではなく、動物病院に向かっている。室内で飼われていた猫もまずは動物病院に行った方がいい理由について、聞いてみた。

「急なことだったので、クロが生まれた状況や過ごしていた環境について、詳しく聞けないまま引き取ることになりました。母猫ちゃんがお外に行っていて何かの病気を持っている可能性だったり、兄弟猫ちゃんの中に風邪を引いている子がいたら?と考えた結果、まずは病院に行くことにしたんです。また猫エイズの母子感染は稀なことらしいのですが、猫白血病は胎盤や乳汁を介しての母子感染や、グルーミング時の唾液から感染することもあると聞いたこともあったので…。あと、多頭飼いや子猫と暮らすこと対して少し不安があったので先生に今後気をつけることや対面方法、ワクチンや去勢・避妊手術のタイミングなど、色々と相談をさせていただきました」

■猫と暮らす際に必要なものと、必要な理由
猫と人間が一緒に暮らすためには、いくつか必需品があるという。樹さんにお迎えを決めたら買いそろえるべきものと、それが必要な理由について聞いてみた。

「個人的に必要だと思うアイテムと、そのアイテムに関するポイントや注意点をまとめてみました。これから猫ちゃんをお迎えしたいと考えている方は、参考にしてみてください!」

フード、おやつ
猫ちゃんのライフステージに合わせたフードを選びましょう。なおドライフードやウェットフードなどいくつか種類を用意しておくと、好みを知ることができます。

おやつは、病院に行ったあとや爪切りをしたときに「頑張ったご褒美」としてるほか、仲良くなるためのコミュニケーションの1つとしても必要なアイテムです。

食器
ごはん用とお水用、2つの食器が必要です。食器は猫ちゃんの首がまっすぐになるくらい(一般的には5〜8センチくらい)の高さがあると、吐き戻し防止と筋肉や関節への負担軽減に繋がります。

お水については個人的に、いつでもキレイなお水が飲める「循環式の自動給水器」がおすすめです。一般的なお水入れよりも容量が多いので、長時間の外出時や、我が家のような多頭飼いのお家に適しています。また、猫ちゃんは流れる水を好む傾向があるとのことで、自動給水器にすることで飲水量が増えて、健康維持に繋がると思います。

ケージ(サークル)
初めてのお家に緊張して、ソファの下やクローゼットなどの狭い場所から出てこなくなってしまうことも。猫ちゃんにとって最初の安心できる場所としてケージがあると、人にも環境にも慣れやすくなると思います。また先住猫との対面時や、病気や怪我など安静に過ごしてもらいたいときにも使えます。

トイレグッズ
トイレも猫砂も、さまざまな種類があります。猫ちゃんの性格や体の大きさ、飼い主さんの使いやすさなどを考えつつ、いろいろと試してベストを見つけてほしいです。

ちなみに猫砂を捨てるゴミ箱とゴミ袋について、私は普通のものを使っていた時期があったのですが、ニオイが気になってしまって…。そこで片っ端から調べた結果、「猫砂処理ボックス」に出会いました。専用のカートリッジ(袋)がついているタイプのゴミ箱で、これを使うと全くニオイがしなくなったんです!

ケアグッズ
「ペット用ウェットティッシュ」は猫ちゃんが舐めても安全なものを選びましょう。体の汚れや目ヤニなどを拭くときに使います。

「爪切り」は、ハサミタイプやギロチンタイプなど、さまざまな種類がありそれぞれ特徴も違うので、いろいろと試してみてほしいです。ちなみに我が家ではギロチンタイプを使っているのですが、あまり振動なくスパッと切れます。爪切りが嫌いだった子もギロチンタイプにしてからは、そこまで嫌がらずに切らせてくれるようになりました!

ブラシ
猫ちゃんは毛玉を吐きます。ブラッシングをすることで飲み込む毛の量が減り、毛玉を吐く回数も少なくなります。

歯ブラシ、歯みがきシート
歯肉炎やむし歯、歯周病の予防に繋がります。

シャンプー(シャンプータオル)
野良猫ちゃんを保護したときや、日頃のおトイレなどで体が汚れてしまったときに使います。

キャリー
一番使うのは病院に行くときだと思いますが、引っ越しや災害時など猫を外出させなければならない場面になったとき、必ず必要になるアイテムです。キャリーがあると脱走のリスクが減るので、安心して外出できます。

キャットタワー
運動不足やストレスの解消に繋がります。また、多頭飼いをしている中でケンカが起きたときや、ひとりでゆっくりしたい猫ちゃんの避難スペースの役割も。

爪とぎ
古くなった層をはがして新しい爪を出す、爪のケアに必要です。さらには気分転換やストレス解消にもなるうえ、家具や壁での爪とぎも防ぐため、人間側のメリットも大きいでしょう。

猫用ベッド
猫ちゃんは1日の大半を寝て過ごすので、安心してゆっくり眠れる場所を用意してあげてください。もふもふのベッドは、冬の寒さ対策にもなります。

ちなみに猫ちゃんにも好みがあるので、折角ベッドを用意しても使ってくれないケースも…。ですが最初は使ってくれなくても、ふとしたときに使ってくれることもあるので、めげずにいろいろなタイプのベッドに挑戦してみるのもいいかもです!ちなみに我が家には現在、17個くらいの寝床があります(笑)。

おもちゃ
猫ちゃんと仲良くなるための必須アイテム!運動不足やストレス解消にもなりますし、遊んでいる猫ちゃんの動きを観察することで、病気や怪我にも気づけます。

ちなみに我が家では今まで数々の猫じゃらしを試してみましたが、なんだかんだ一番遊んでくれるのは100円ショップで購入したシンプルな猫じゃらしなのでした。

■あったら便利なグッズも紹介
マストではありませんが、猫ちゃんたちと暮らす中であると便利だなと感じたグッズも紹介します。参考になるとうれしいです。

洗濯ネット
抱っこが嫌いな猫ちゃんをキャリーに入れるときや、爪切りのときに使います。

除菌消臭スプレー
トイレなどのちょっとした汚れを拭くときに便利です。

ロールクリーナー
猫たちの寝床やカーペット、服についた毛などを取るために使います。

ペットカメラ
お留守番をしてもらっているとき、外出先から様子を確認できます。

首輪、ハーネス、リード
災害時は何が起きるかわかりません。首輪などをしていれば、万が一脱走してしまっても目印になるかなと、普段はつけていませんが念のため用意しています。

ほのぼのした日常だけでなく、一緒に暮らすうえで知っておきたいことや保護猫をめぐる悲しい現状なども描く漫画版「にゃんかつ」。学びのある漫画を今後も楽しみにしてほしい。

取材・文=石川知京