経営不振が続く半導体大手のキオクシアホールディングスが、銀行団から約1000億円の追加融資を受ける方向で最終調整していることがわかった。6月中に返済期限を迎える最大9000億円規模の借り換えとともに、新たな融資を受ける見通しだ。

 銀行団が近く、借り換えを含む新たな融資を保証するとキオクシア側に通知する。経済産業省は、キオクシアが三重県の四日市工場と岩手県の北上工場で計画する設備投資に対して、総額の3分の1にあたる2429億円を補助している。残る3分の2の持ち分を融資の担保に使えることを確認し、銀行団の融資を後押しした。

 キオクシアは、2024年3月期連結決算(国際会計基準)の最終利益が2437億円の赤字となった。過去最大の赤字となるが、国内外で競争は激しく、経営再建には、研究開発や生産効率化に向けた巨額投資が不可欠だ。新たな融資は当面の運転資金などに充てる。

 株式を東京証券取引所に上場させる案についても早期の実現を目指す。キオクシアは、東芝のメモリー半導体事業の分社化で設立された。以前も上場案は浮上したが、市場環境の悪化もあり、頓挫した経緯がある。