損害保険大手4社は今年10月から、住宅向けの火災保険料を全国平均で1割ほど引き上げる。各社は、自然災害で悪化した収支を改善させるためとしている。ただ、火災保険の値上げは2019年以降4回目。この5年で4割ほども上昇するため、家計の負担は増している。

 値上げするのは東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損害保険の4社。東京海上日動は平均9%引き上げることを決め、ほかの3社も1割程度引き上げる方針で詳細を詰めている。6月までに決める。

 火災保険料は、業界団体の損害保険料率算出機構が、保険料の目安となる「参考純率」を算出している。近年、台風や豪雨などの災害が相次ぎ、保険金の支払いが増えていることから、機構は昨夏、住宅向け火災保険で平均13%の料率引き上げを決めた。これを受け、各社が値上げの幅や時期を検討していた。

 大手4社による火災保険料の値上げは直近5年間で4度目だ。いずれも自然災害の増加に対応するためとし、19年10月には全国平均で6〜9%、21年1月には同6〜8%、22年10月には同11〜13%、それぞれ引き上げている。

 大手損保の試算によると、築30年の耐火構造の戸建てで総合的に補償するプランに入り、補償金額を建物3千万円、家財500万円とした場合、年間の保険料は19年9月で年約3万1千円だったが、今年10月以降は4万7千円となる。

 また、4社は10月から、洪水や土砂崩れなどの水災に対応する保険料について、災害が起こるリスクに応じて地域ごとに変動させる仕組みを導入する。水災保険は通常、災害全般を対象とする火災保険に付帯して契約しており、これまでは、住む地域にかかわらず全国一律の料率だった。

 東京海上は水災補償の保険料率を、水災リスクに応じて5段階に分ける。台風の多い地域や河川の近くなど、最もリスクの高い地域は保険料が約5%増え、高台など最もリスクの低い地域は逆に約5%下がる。火災保険全体の保険料で最大1割ほどの差がつくという。ほかの社も同様の区分けを導入する方針だ。(柴田秀並)