visual model : PEUGEOT 408 GT HYBRID

写真●内藤敬仁
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年6月号「旅特集/気の向くまま、思いっきり走りたい[わがまま旅]」記事の内容です)

なぜ人は旅を愛するのか。日常からの解放、見慣れない美しい景色との出会い、美味しい食事。理由はいくらでも挙げられるが、要のつまりは、自由を体現できるからだろう。日常から解放される時、人は自由を感じる。であるならば、クルマは最高の手段になる。道が続くかぎり、どこまでも行ける。その可能性だけで、気分は盛り上がる。緑が色濃さを増し、暖かくなった今は、旅に出かけるのに最高のタイミングだ。そこで今回は、グーワールド編集部スタッフがそれぞれのわがままを実現してくれる夢の一台を選んで実際に旅に出かけてみた。

高野山まで一気!のグランドツーリング【TRIP 01】パワートレイン:ディーゼルエンジン

文と写真●ユニット・コンパス ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

フィアット ドブロ/「クルマ旅」は心の栄養と思い出作りに欠かせない

 わがまま旅の第一弾は、「とにかく思いっきり走る!」がテーマ。とはいえ、今回は2泊3日が限度なうえ途中箱根での取材があったため、この企画の撮影は箱根で15時すぎにスタートすることになった。

 パワートレインには、グランドツーリングにふさわしいディーゼルをチョイス。また、今まで実現できなかった旅をと、自転車が積めるモデルを選ばせてもらった。その名は「フィアット ドブロ」。

 一人で行く国内のグランドツーリングは、宿選びは基本的に行き当たりばったり。この日も「あと100kmぐらいかな」というところで、休憩がてら手配した。

 最終目的地は高野山。高野山といえば、平安時代のはじめに弘法大師によって開かれた真言密教の聖地として知られている。その一帯は高野山全域が寺の境内地とされていて、境内のなかに発展した町があるわけなのだが、すでに何度も行っているにもかかわらず、まったく飽きないどころか、行くたびに新しい発見がある自分にとっての大切な場所。こんなところがいくつかあると、つねに「次はどこに行こうかな?」ということばかり考えていて、いつも時間とお金が足りなくなる(苦笑)。

 高野山までは、いつもは近くのインターまで高速で行くのだが、今回は未体験の海沿いを制覇したいと思い、三重県と和歌山県の下部をぐるっとまわる一般道をセレクト。そして、このルートがドブロの魅力を存分に味わわせてくれ、旅のテンションをグッと高めてくれた。

 ドブロの走りは、「普通が気持ちいい」。特に常用域の時速40km〜60kmでのライドフィールは、ディーゼルエンジンがもたらす力強さと時折フワッとした挙動を見せるソフトな足まわりがシンクロして、なんとも形容しがたい心地よさ。本国では商用車としても使われているから、このクルマならリラックスして仕事できるだろうと国産商用車の横に並んで思う(笑)。

 気になる場所にサクッと停めて自転車を降ろし、周囲を散策するなど新しい体験もさせてもらった。この組み合わせによる機動性は高い! もちろん、荷物はキャンプ道具や遊びのセットでもいい。MPVは「旅の可能性」を大いに高めてくれる1台といえるだろう。

今回の全ルートでの平均燃費は23.0km/L。満タンにすれば航続可能距離は1000km以上を示す。結果的に1000km以上走ることになった。燃料費が約7000円だったことを考えるとその経済性は高い。
和歌山県串本町の観光スポット、橋杭岩が見える場所でパシャっと一枚。この後パーキングにクルマを停めて、周囲を自転車で散策。そして、旅はやっぱり食事も重要。こちらは帰りの鈴鹿PAで食したスタミナ豚丼(1000円)。あまりに美味しかったためこちらも思わず撮影。
当日は天候に恵まれたが、朝早く行き過ぎてまだ人はまばら(笑)。高野山内は「一山境内地」といわれ高野山全域が寺の境内地とされていて、見どころがたくさんある。個人的には奥之院(撮影禁止)には必ず行きます。

走るほど身体に染み入る 「独特の味」にツボった

縁の下の力持ちではなく乗るのが純粋に楽しい

 3代目から日本導入がスタートした「フィアット ドブロ」は、トールワゴン(本国では商用モデルもある貨客兼用車)として人気の「シトロエン ベルランゴ」、「プジョー リフター」と兄弟車となるモデルで、写真の5人乗り「標準ボディ」と、7人乗りロングボディの「マキシ」の設定がある。

 今回は、その旅程から一般道、高速道、山道とオールラウンドに1000km以上走ることになったのだが、見事にツボってしまった。ロングドライブが好きな人には素晴らしい1台だと、自信をもってオススメ。トルク感あるディーゼルエンジンと賢い8速ATのマッチングと、優しい乗り心地のバランスがマッサージ機顔負けの気持ちよさ。休憩するのが面倒になるくらい、どこまでも走っていきたくなる衝動にかられた。

 これにはアダプティブクルーズコントロールやレーンキーピングアシスト、ブラインドスポットモニターやオートハイビームなどの先進装備の恩恵も大きい。なかでもステアリングの左下にあるクルーズコントロールレバーは、ストレスフリーで使いやすかった。もう少し遮音性がよければいいなと思うシーンもあったが、クルマの成り立ち上、それは求めすぎかもしれない。

 これだけよく走って燃費は平均23.0km/Lとこれまた優秀。普段の仕事にも使えるし、購入しようかと真剣に悩んでしまった。次は「マキシ」もぜひ試してみたい! 

とても機能的な運転席まわり。見切りもいいため、取りまわしに不都合は感じない。シフトはダイヤル式で、純正モニターには「アップルカープレイ」や「アンドロイドオート」に対応する。
シートアレンジが自由自在なのもドブロの魅力。撮影車両は標準ボディだが、ロングボディの「マキシ」(全長4770mm)ならもっと積める!
今回の長距離走行で惚れ直したクリーンディーゼル1.5L BlueHDi。トルコンの8速ATとのマッチングが絶妙で、ドブロの魅力をさらに引き出すことに成功している。

フィアット ドブロ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4405×1850×1850mm ●ホイールベース:2785mm ●車両重量:1560kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1498cc ●最高出力:130ps/3750rpm ●最大トルク:30.6kgm/1750rpm ●新車価格:399万円(ドブロ 標準モデル)

https://www.goo-net.com/newcar/FIAT__DOBLO/

著者:グーネットマガジン編集部