「さつき晴れ」と聞いたら、どんな空を思い浮かべるでしょうか。芽吹き始めた青葉越しに見える、すがすがしい5月の青空…という人が多いかもしれません。でもじつは、「さつき晴れ」は本来5月の晴れではない!という話も。しかも「さつき晴れ」は意外と危険な天気だった⁉

今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、これからの時季に気をつけたい要注意な空模様について解説してもらいます。

「さつき晴れ」はいつの晴れ?

「さつき晴れ」の「さつき」は漢字で「皐月」で、5月の古い呼び名です。それなら文字通り5月の晴れのことでは?と思われそうですが、よく考えてみると5月を「皐月」と呼んでいた時代は、今の5月とは時季がズレていたはず。

旧暦5月は現代の6月頃にあたるため、じつは梅雨の時季。つまり「さつき晴れ」は、もともと梅雨の晴れ間のことだったのです。

ただ、時代とともに「梅雨の晴れ間」ではなく梅雨入り前のすがすがしい晴れを表す言葉として使う人も増えてきて、今では6月よりも5月の晴れに「さつき晴れ」という言葉が使われる場面のほうが圧倒的に多くなっています。

気づかないまま熱中症に…

現在「さつき晴れ」という言葉がよく使われる5月の晴れは、真夏とは違い空気がカラッとしていて、気温が多少高くても不快感はなく、気持ちいのいい晴れです。

外に出て体を動かすのにちょうどいい陽気ですが…、じつは熱中症に注意。暑さを実感しづらいために水分補給を忘れてしまいがちですが、5月は晴れると30度を超えることがよくありますし、また暑さに体が慣れていない時期ということもあって、自覚がないまま熱中症になってしまうことさえあります。

たとえ暑いと感じなくても、水分補給や休憩をしながら体を動かすようにしましょう。

あっという間に雷雨に!

5月の晴れ間は意外と安定していません。青空が広がっていたと思ったら、急に積乱雲が発達して大粒の雨が降り出すことも…。

雨だけでなく雷を伴うこともあり、さらには氷の粒である「ひょう」が降ってくることさえあります。5月は日中の気温が急激に上がることが多いのですが、上空には春の名残の冷たい空気がまだ残っていることがあり、大気の状態が不安定になりやすいのです。

ちょうど森や山でのレジャーが本格化する季節でもあるため、外ですごすときは、たとえ晴れていても天気の急変に注意が必要です。

すごしやすく思える晴天でも油断大敵

5月は新年度のバタバタや花粉症もおさまって、外のレジャーが本格化する季節。カラッとした空気は気持ちがいいですが、暑さや天気の急変には要注意です。

外で遊んだり観光したりするのに夢中になってしまうと忘れてしまいそうですが、水分補給や休憩をこまめにして、また空の様子の変化に気をつけながら、梅雨入り前のすがすがしい晴天をすごしてください。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。

編集/サンキュ!編集部