食品ロスを減らそうと、店頭で売り切れなかったパンを割安で購入できる通販サイト「rebake(リベイク)」が好評だ。2018年のサイト開設以来、登録店舗数は約1500、会員数は17万人に増えた。もっとサイトを知ってもらおうと、今年からパンを対面販売する即売会を東京都内で始めた。

 サイトを運営するのは「クアッガ」(東京都墨田区)。天候の影響などで売れ残ったけれど、まだ食べられるパンを「ロスパン」と呼び、希望する店舗が数種類から数十種類をセットにして割安で販売する。

 今年2月には、ロスパンを対面販売するマルシェ(即売会)を都内で初めて主催。5月25日には3回目が開かれた。全国11の店舗がパンを冷凍で送り、クアッガのスタッフが販売。用意した約500個は午前中にほとんど売り切れた。

 山形県産米の米粉を使ったパンを製造する山形県村山市の「お米のめぐみ穂たる」は、1回目から参加する。この日は、菓子パンや総菜パン、食パンなどを届けた。

 代表の木村和也さん(36)は銀行員からパン職人に転じ、19年に開店。食品ロス削減の取り組みに賛同して、21年にリベイクに登録した。

 「まだおいしく食べられるパンを産業廃棄物にすることなく、新たに提供の機会をいただけるのはありがたい」と木村さん。首都圏からの注文も増え「県産米を無駄にせず、消費拡大に貢献できるのもうれしいですね」。

 友人に勧められて来たという東京都葛飾区の男性(62)は「原材料費の値上がりで、パンの値段も上がっている。各地のパンが割安で買えるのはありがたい」と話した。

 マルシェを企画したクアッガ広報担当の中島百音(もね)さん(24)は、もともとレストランで働いていた。自分が焼いたパンを昼に提供し、残ったら捨てる毎日が苦しく、食べ物に関わりながら社会貢献を、と昨夏に入社した。今後も協力店舗を募って、マルシェを続けていくという。(杉山圭子)