明治期から昭和初期にかけてとみられるガラス乾板の写真183枚が三嶋大社(静岡県三島市)で新たに確認された。1世紀前の関東大震災(1923年)をはじめ、県東部・伊豆地域を襲った大規模地震で損壊した社殿などの被災の様子を撮ったとみられる1次資料が多数含まれる。同大社はこれまで確認されている古写真と合わせて286枚をデジタルアーカイブ化して、後世に残していくという。

 古写真は2016年ごろ、三島市内の写真館から寄贈された。神庫で保管されていたが、「令和の大修理」として社殿を改修するのに合わせて収蔵資料を整理、点検することになり、今回の発見につながった。

 宝物館に収蔵しているガラス乾板などの103枚を含む古写真286枚の大きさの内訳は、手札サイズ160枚▽キャビネ103枚▽六つ切り1枚▽四つ切り22枚。

 そのおよそ4分の1は災害で被災した境内の様子を写したもので、損壊した鳥居や舞殿のほか、避難した人々や復興作業などの様子が多様なアングルで記録されている。撮影台帳がなく、正確な撮影時期は特定できていないが、関東大震災や7年後の北伊豆地震(1930年)の際に撮られたものではないかとみられるという。古くから伝わる神事や祭事の様子を収めた写真も多数残っていた。

 大社は今後の調査で、記録などと照らし合わせてデジタル化に必要な撮影時期の特定を進めていく。アーカイブ資料は6月にも一般に公開する予定という。

 調査に当たっている日本カメラ博物館研究員の井桜直美さんは「これほどの古写真がまとまって表に出てくるのは珍しい。震災のほか、神事などの記録としても非常に貴重だ。当時の大社の人々が写真撮影に力を入れていたことの証左ともいえる」と話している。(菅尾保)