宇都宮市が、沖縄県うるま市と友好都市の提携を結ぶことになった。人口減少や高齢化が進む中、地域力向上のために自治体間の連携を深めていく狙い。宇都宮市が国内の自治体と友好都市になるのは初めてで、8月に同市で調印式が行われる予定だ。

 宇都宮市は国際交流や海外で活躍する人材の育成を目的に、ニュージーランドのオークランド市や米国のタルサ市といった海外の都市と姉妹都市などの提携を結んでいる。今回の提携は、国内の都市間でオンラインによる情報交換が活発化していることが背景にある。交流を強化し、地域経済を発展させたり、地域振興などの地域力を向上させたりすることが目的だ。

 2005年に具志川市など4市町が合併して生まれたうるま市と宇都宮市は、経済を中心に行政間の連携実績がある。これまでに、佐藤栄一・宇都宮市長がうるま市を、中村正人・うるま市長が宇都宮市をそれぞれ訪問しているほか、宇都宮市の職員はうるま市の農水産業振興戦略拠点施設用地を視察。うるま市のイベントで観光PRブースも設置した。

 民間の交流も盛んだ。自転車のプロロードレースチーム・宇都宮ブリッツェンがサイクルツーリズム(自転車を活用した観光)のイベントをうるま市で実施したほか、宇都宮市の「ふるさと宮まつり」には、うるま市のエイサー団体が参加。サッカーJ2・栃木SCも、うるま市でキャンプを実施した。

 友好都市提携を踏まえた今後の事業の可能性として挙げられるのが、文化・スポーツの交流や、特産品の販路拡大、職員の人事交流など。宇都宮市は次世代型路面電車(LRT)や国際スポーツイベントの開催、うるま市は島をつなぐ海中道路などの観光資源やインバウンド需要といった特色があり、両市は、提携が各分野の情報交換にもつながるとみている。

 佐藤市長は4月に開かれた市議会議員協議会で友好都市提携について説明し、「他自治体との交流を通して、市のさらなる地域力の向上につながる都市間連携も重要な取り組みのひとつ」と語った。(石原剛文)