戦争放棄などを定めた憲法9条の条文を刻んだ「9条の碑」とモニュメントが東京都府中市南町6丁目に完成し、7日に除幕式が行われた。国内37カ所目で都内では2カ所目という。

 手がけたのは「三多摩初の『9条の碑』を府中につくる会」。共同代表の斉藤寿美代さんはピアニストで、「けやき平和コンサートの会」など音楽を通じた平和運動を続けてきた。ジャーナリスト伊藤千尋さんの講演会を企画した際に、府中で多摩地域初の碑をつくる機運が高まった。

 伊藤さんは碑の意義について、「憲法9条を見えるかたちにし、残すもの」とする。ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナでの紛争が続くなか、全国各地で9条の碑の建立が続いているという。府中の碑は「市民のうねりでできた。戦争をなくすことで、憎悪の連鎖を断ち切れる」と話した。

 ブロンズ製の彫刻であるモニュメントは、アヒルを抱えた女性像だ。御影石の台の上にのり、高さ2.1メートル。市内に住む彫刻家、久保制一さん(74)が制作した。平和は与えられるものではなく、一歩一歩前に進むアヒルのように、自分でつくるものという思いを表現し、「peace on earth (9条の平和の心をカタチに)」と名づけられた。

 建立に際しては800の個人や団体から寄付約1千万円が集まった。碑の裏側には330人の賛同者の名前が刻まれ、俳優の吉永小百合さんの名もある。(平山亜理)