移住者の視点から編集したガイドブック「田舎の歩き方・暮らし方#1 千葉県いすみと周辺2024」が4月23日、出版された。横浜市出身で、千葉県いすみ市に移住した中沢かおりさん(39)が手掛けた。「田舎はほっこりするだけではなく、ここに暮らす人たちが格好いいと伝えたかった」と話す。

 ガイドブックは、「都会にはないものがここにある」という視点で作ったという。いすみ市のほか、大多喜町や一宮町など周辺の魅力的な場所や催しを紹介している。

 自然栽培の野菜の生産者、そうした素材を使った料理を出す飲食店。地域で開かれるマルシェや散策コースといった情報も掲載されている。古民家を利活用した宿泊施設や地域のコミュニティーなども取材した。

 いずれも「暮らす」をテーマに120以上の題材が盛り込まれている。

 中沢さんは2019年に埼玉県春日部市からいすみ市に家族で移り住んだ。いすみでは日々発見の連続で、毎日旅をしている心地だったという。

 ただ、「この面白さが、遊びに来る人になかなか伝わっていないようで、もどかしかった」。だから、「地域のために何かしたかった」とガイドブック作りを始めた。

 本業は1級建築士。旅が好きで、国内外の各地を訪れた。その経験から、自分が気に入っているガイドブックをイメージし、取材や編集を進め、デザインなども考えた。協力者と情報を共有し、市役所職員などにも見てもらいながら製作した。

 情報を詰め込むだけではなく、読み物を目指した。移住者8人へ「あなたが手に入れたものはなんですか?」と尋ねるインタビューを企画。「いすみを訪れる際、移住を考える際の参考にもしてもらいたい」と思った。

 タイトルに「#1」と付けたのは、別の田舎に住む人が「#2」を出してほしいという思いからだ。

 A5判160ページ、税込み1500円。ガイドブックで紹介した店で販売しているほか、問い合わせはガイドブック製作と同時に立ち上げたサイト「いすみガイド」(https://isumi-guide.com/)へ。(中野渉)