岡山市南区の興陽高校で9日、農業科で畜産を学ぶ3年生25人がヒツジの毛刈りを体験した。授業の一環で毎年この時期に実施。専門家から手ほどきを受けながら、長い毛で覆われた母子2頭を夏仕立てにスッキリさせた。

 同高ではヒツジの「チコちゃん」を飼育し、生態などを学んでいる。夏を前に、ヒツジは熱中症予防のために毛刈りをする必要があるという。この日はチコちゃんが生まれた赤磐市の「おかやまフォレストパーク ドイツの森」から母親の「ニコちゃん」も来校。母子で「カットモデル」となった。

 「ヒツジは倒れたら自分の体重で起き上がれなくなる」「体のしわを伸ばすと刈りやすい」――。ドイツの森で毛刈り経験20年余という飼育員の松本朝生さんの助言のもと、生徒たちは作業に着手。1人1分ほど、ヒツジを優しく横たわらせて両足でしっかりと挟み、手早くバリカンを動かした。

 刈られた毛はフェルト材に加工され、被服デザイン科に提供するという。農業系の大学を目指しているという中河原楓(かえで)さんは「刈るときに体を押さえる力の加減が難しく、ヒツジが抵抗する力の強さに驚いた。大変な作業だったけどもっと色々と挑戦したくなった」と話した。(小沢邦男)