5月8日、静岡県の富士スピードウェイにて行われたENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONEの公式テスト。5月24〜26日開催の第2戦富士SUPER TEC 24時間レースへ向けたこのテストにて、シェイクダウンを行う1台のトヨタGRスープラGT4に乗り込んでいたのは、スーパーGTのGT500クラスで3度チャンピオンとなり、2023年限りでそのシートを降りた立川祐路だった。

 今回は、新たなチームとともにスーパー耐久シリーズへ参戦するに至った経緯について、テストを進めた立川に聞いた。

 富士24時間レースへ向けてGT4マシンが戦うST-Zクラスへ新たにエントリーを行ったのは、1W Zoomies x GR Garage 山口・周南の59号車2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVO。ドライバーは立川と、2024年はFIA F4などを戦っている卜部和久に加え、チアラバノン・カチョーン、アヅンラヤビチット・アンドルー、アヅンラヤビチット・ウォーレンというタイのドライバー3人が乗り込む。

 立川はチームの成り立ちについて、「全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)で一緒にレースをしているインギングは、最近はタイでもレース活動を行ってきました。そのなかで、一緒に参戦していたドライバーたちと日本でもレースをしたいという話になり、今回スーパー耐久にエントリーをしました」と語った。

 チームはこれまでタイでレースを重ねてきたこともあり、今回のテストでも終始自然な雰囲気が感じられた。このチームで立川がドライブすることになった経緯については、長年トップカテゴリーで戦い続けてきた自身の想いがきっかけとなったという。

「スーパーGTみたいにバリバリ戦うレースは引退しましたが、何らかのかたちでレースを走ることは続けたいという想いがありました。走ることを一切やめてしまうのではなくて、楽しんで乗れるレースで走れたらいいなと。」

「そのなかで、ちょうどチームがスーパー耐久に参戦するという話がありました。自分も、“富士24時間”は楽しそうだなと興味を持っていましたし、いい機会だと思って自然な流れで出ることになりました」と、穏やかな雰囲気で語った。

 迎えた午前のセッション1では、燃料系のトラブルが発生するなどシェイクダウンらしい時間を過ごしたが、午後には問題も無事に解消。24時間レースの出走条件にもなっている夜間練習走行では、ST-Zクラスのライバルと同じペースで周回を重ねていた。

 テストを進めた立川は、「やっぱり、これはこれでいいなという感じがしました。今までとは違って気軽に、楽しみながら乗れました」と、早くもこれまで戦ってきたトップカテゴリーとは異なるスーパー耐久シリーズの趣を楽しんでいる様子だ。

 現時点でのチームのプランとしては、富士24時間レースのみのスポット参戦だというが、「未定ではありますが、そのあとも数回は出るかもしれない」とのこと。最後には、「僕らは賑やかしで出ます(笑)」と柔和な一言も残した。

 開幕まで2週間あまりとなった第2戦富士SUPER TEC 24時間レース。スーパー耐久シリーズのシーズンハイライトとも言えるこの一戦に、立川祐路がドライブするトヨタGRスープラGT4という楽しみな一台が増えた。