メルセデスF1は、フェラーリがルイス・ハミルトン、ロイック・セラ、ジェローム・ダンブロジオと契約したことに反応し、スクーデリアからふたりのトップエンジニアを引き抜いた。昨年末にハースF1の運営方法に不満を抱いて自発的にチームを去ったシモーネ・レスタは、ガーデニング休暇が終わればメルセデスの開発ディレクターとなる。また、エンリコ・サンポも休暇期間が終了次第、すぐにチームのソフトウェアアプリケーション責任者を務めることになる。

 実のところ、F1プログラムにレスタを再度起用する計画はフェラーリにはなかった。フレデリック・バスール代表は、現時点では必要な体制が整っていると考えているのだ。しかし、エイドリアン・ニューウェイがオファーを受け入れた場合は、彼を一種のスーパーコンサルタントとして迎える用意があることは明らかだ。それはほぼ明確で、というのもバスールは、レスタがハースでのローン期間を終えてスクーデリアに戻ると、すぐに彼をスポーツカープログラムに配置したからだ。

 フェラーリF1で仕事を取り戻すチャンスはわずかであることを理解していたレスタは、市場に出た。メルセデスはグラウンドエフェクトのレギュレーションの仕組みをよく理解している人材を必要としていたため、トト・ウォルフ代表はすぐにレスタを採用したが、過去7年間に彼がフェラーリ、ザウバー、ハースで務めた役職よりもかなり下の役職に就くことになった。

 一方サンポはそれほど知られていないが、13年以上フェラーリで働き、チームを離れた。彼はドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーターのチームリーダーを4年近く務めてきた。サンポの場合は明らかに昇進であり、大きな役割を果たすことになる。また、シミュレーターでの彼の経験は、メルセデスにとって大いに役立つものだろう。チームによる一連の開発の結果、CFDとシミュレーターで常に素晴らしい数字が出るものの、コースでは同等の結果が出ないという事実は、この分野に問題があることを示している。そのため、サンポが持つフェラーリのシミュレーターに関する知識が、過去3年間におけるメルセデスの最大のハンデのひとつを克服する助けになることが期待される。

 ふたりのイタリア人がメルセデスに加わり、別にひとりのイタリア人が去ることになる。チーフエアロダイナミシストのジョアッキーノ・ビーノが解雇され、休暇期間を取る必要なしに現在市場に出ている。W15にはそれ以前のマシンにあった一貫性がなかったことがビーノの解任につながり、彼はブラックリーでの6年以上にわたる仕事に終止符を打つことになった。