2016年に卓球選手を引退した平野早矢香さん。2022年末に第一子が誕生しますが、仕事と子育ての両立など、夫婦での家事子育ての分担などどのように向き合っているのでしょうか。(全4回中の4回)

産後復帰で夫婦の話し合い

── 2016年に引退してからは、解説者やキャスターとしてテレビに出演されています。セカンドキャリアについて引退前から考えていましたか?

平野さん:特に何も考えていなくて、ゆっくりしたいなという気持ちだけでした。と言うか、自分の卓球人生を振り返ったときに、セカンドキャリアについて考えながら競技をする余裕があったかと言えばそんな心の余裕も、時間の余裕もまったくありませんでした。

でも時間の余裕があったら勉強をしたかったなと思ったので、2018年に大学院にチャレンジ。私は大学に進学していなかったので、TOEICの点数も必要だったのですが点数が足りずに受験に失敗。そのあとは東京オリンピックのことや新型コロナウイルス、そして結婚、出産と続いて再チャレンジできていないので、また機会があれば挑戦したいですね。

── 2021年に結婚、2022年末に娘さんを出産しました。出産後の子育てと仕事の両立はどのように考えていましたか?

平野さん:初めての出産でしたし、卓球教室でカラダを動かして教えたりすることも多いので、出産前から産婦人科の先生に時期を相談しました。

あとはアスリートの先輩でもあるテニスの杉山愛さん、競泳の田中雅美さんやバドミントンの潮田玲子さんからもお話をお聞きました。本当にみなさんとても親身にアドバイスをしてくださって。復帰時期や方法はみなさん違いましたね。最終的に私は、レギュラーの番組は3ヶ月後から復帰させていただくことになり、それ以外の単発のお仕事は産後2ヶ月ちょっとで始めました。

── 復帰には旦那さんの協力も欠かせないかと思いますが、いかがでしたか?

平野さん:出産前から夫婦でしっかり話し合いました。そこで夫も私と同じように赤ちゃんのお世話ができるように初めから育児に参加してもらおうと、あえて里帰り出産を選びませんでした。

出産後は、私主体ではありましたが夫も一緒に、娘の入浴やおむつ替え、ミルクをあげるといったことをしていたので、今はなんでもできますよ。

たとえば、朝の生放送で家を明け方の4時前に出ないといけないときは、普段は私が娘と一緒に寝ているのを夫と交代。朝は夫が自分の準備や娘の準備もこなして保育園に送り届けてくれます。私が短期間の泊りがけの出張に出たときも、頑張ってこなしてくれました。ほかのご家庭と比べたことがないので何とも言えませんが、わが家のパパはかなり優秀だと思います(笑)。

── 出産前からご夫婦でしっかり計画して復帰したんですね。反対に大変だったことはありますか?

平野さん:夫の協力もあり、仕事自体は順調に再開できましたが、問題は母乳からミルクへの切り替えでした。これが一番しんどかったですね。これも事前に産婦人科の先生に「仕事復帰を考えるときの大きな問題は母乳問題」と言われていたのですが、そのときはいまいちピンときていなくて。

仕事復帰のことも考えて「絶対母乳」という気持ちは捨てて、ミルクとの混合で育てるつもりだったんです。それが、私は母乳がよく出る方だったので飲んでもらわないと胸が張ってしまって。長時間娘と離れたり、泊りがけの仕事になると胸が張ってしまうので、夜中に起きて搾乳して捨てての繰り返し。乳腺炎になりかけたことも。娘が約8ヶ月のときに解説の仕事で約2週間海外へ行くことが決まっていたので、最後は薬を飲んで母乳を切る選択をしてミルクにシフトしました。