千歳町「天狗(てんぐ)連」では、オーストラリア出身のサイモン・ジョンさん(47)=写真(右)=が、長男・海音(かいおん)リアムちゃん(3)=同(左)=と滉海(こうと)ジェイゴちゃん(1)兄弟連名の初凧を揚げた。同町で外国出身者が初凧を揚げるのは初めてといい、伝統に新しい風を吹き込んだ。

 サイモンさんは5日、風が弱い中、仲間たちが必死に凧を揚げる姿を見守った。「みんなでバンザイ三唱してくれ、うれしい」と喜んだ。

 母国では、東アジアや日本の歴史を研究。1997年に交換留学生として来日し、東京大や千葉大で学んだ。2000年、浜松出身の友人に誘われたことを機に、まつりに引かれるようになった。「大人たちが楽しみながら、一生懸命に子どもの成長を祝う姿が魅力的。大好きになった」

 02年には日本の大学院に進学。現在は神奈川大の非常勤講師として浜松まつりを研究し、毎年、まつりに参加している。仲間からの提案を受け、初凧を揚げることに。「町外から来た自分たちのために、ありがたい」と感謝する。

 まつりへの情熱はさらに高まった。「もっと技術を磨いて、来年もやりたい」と意気込む。そして、空を舞う初凧には息子たちの健やかな成長を願った。「凧と同じように風に乗り、自分たちの道を歩んでいってほしい」 (柳昂介、小林颯平)