ボクシングのフェザー級10回戦が17日、東京・後楽園ホールで行われ、WBC同級8位の堤駿斗(24)=志成=がWBA同級9位アンセルモ・モレノ(パナマ)に3回2分45秒KOで勝利した。アマ13冠の堤は前日計量で1・55キロ体重が超過し、急きょ設定された当日計量をクリア。試合後には新型コロナウイルスの後遺症の影響で調整に失敗したことを明かし、「全部言い訳です。モレノ選手に申し訳ない」と涙ぐんだ。

 「3月末までの米国合宿の終わり際にコロナにかかって、後遺症で肺をやられてしまって」と説明した堤。「以前インフルエンザで試合を中止しているので、今回メインイベントですし2度目は本当にまずいと思って。その後は計量のことしか考えられませんでした。バイクをこぐことしかできず、栄養のあるものはほとんど食べずに過ごして。前日にあと2・8キロで、水分はとっていたので(水抜きで)なんとか落とせるかと思ったんですが、汗を出そうとすると息が上がって肺に激痛が走ってしまって」と壮絶な状況を明かした。

 後遺症は完治しておらず、息が上がれば肺が言うことを聞かなくなる状況での試合となった。それでも、堤は「負けることもプロの仕事のうちと思っていました。ただ、リングに変な感情を持ち込んだり、わざと負けたりするのはボクシングを侮辱すること。それはしてはいけないと思いました」と心境を語った。

 体重超過により日本ボクシングコミッションから半年間のライセンス停止処分と階級を上げる勧告が出ることは確実。それだけに、「このままフェザー級ではペナルティーにならない。半年間、人として成長して、失った信頼を取り戻していけるように精進していきたい」とうなだれた。