◇コラム「番記者が見た」

◇4日(日本時間5日)MLB ドジャース―ブレーブス(ロサンゼルス)

  ドジャースのロバーツ監督は、大谷翔平が今季8号本塁打を放つと、笑顔が弾けた。ダイヤモンドを1周すると、指揮官は一番に出迎えて両手でハイタッチ。その後、再び、大谷と両手を合わせた。

 2人がネタにしてきた「ドジャースの日本生まれの最多本塁打記録」。沖縄県で生まれたロバーツ監督は現役時代、ドジャースで7本塁打を放った。大谷が今季8号を放ち「記録更新」となった。

 一般的な記録ではないが、2人の絆を深める「記録」だったのは間違いない。大谷が日本勢最多のメジャー176号を放った時に、次は「監督の記録を抜くこと」を目標にするとジョークを飛ばし、その後、たびたび話題になった。

 大谷は前日3日、ロバーツ監督の記録に並んだ「贈り物」として「ポルシェのミニカー」を渡した。球団に帯同する女性リポーターのワトソンさんのアイデアを聞き入れ、アメリカンジョークのきいたプレゼントを準備。監督は試合前、うれしそうに、日米の記者にこのエピソードを明かした。

 そして、数時間後、「ロバーツ超え」の一発。2人は満面の笑みでハイタッチした。大谷の試合後の会見では、ロバーツ監督がポルシェのミニカーを持って乱入。「翔平、おめでとう。これは僕の車だ」とスピーチして笑いを誘った。

 大谷は監督について「基本的に選手に寄り添う監督だと思うが、よくないプレーに対しては、しっかりと、改善点もそうだが、どの選手もアプローチを含めて話しあえる関係性がある。そういうメリハリのある監督」。元通訳の水原一平容疑者の問題が暗い影を落としたが、あの事件は2人の直接的なコミュニケーションを深めるきっかけともなった可能性はある。(阿部太郎)